活動報告

【C】2021年度

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
Cコース合同 2月活動報告

日時
2022年2月19日(土)
2022年2月20(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 2月活動報告
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 2月活動報告
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 2月活動報告
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 2月活動報告

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同の2月講義が開催されました。

2月19日午前は、笠井さつき帝京大学心理臨床センター教授から「精神分析的心理療法における『女性であること』とトラウマ」についてご講義いただきました。具体的な臨床実践をご紹介いただきながら、精神分析的心理療法とトラウマ、そして“母親という主体”についてご解説いただき、トラウマインフォームドな支援の手がかりとなる考え方や姿勢を学ぶことができました。
午後は、松本俊彦国立精神・神経医療研究センター部長から「薬物依存症をもつ人を地域で支える」についてご講義いただきました。調査研究や支援の実際と結びつけながら歴史的、文化的、社会的視点から薬物依存症についてお話しいただき、個人の病理や責任という枠を超えて理解することや繋がる支援を考えていく必要性を学びました。
2月20日午前は、澁谷智子成蹊大学文学部現代社会学科教授から「ヤングケアラー」について社会学の立場から背景要因や実態、支援に至るまで幅広くお話いただきました。当事者の語りや海外での支援モデルなどもご紹介いただき、子どもの権利や緩むことのできる仕組みづくりについて再考する機会となりました。
午後は、上野千鶴子認定NPO 法人ウィメンズアクションネットワーク理事長から「ミソジニー・性暴力・フェミサイド」というテーマで、社会の中の性にまつわる概念について理論と実践の両面から詳しくご解説いただきました。歴史文化的構造を捉え、連続性や関係性に目を向けながら現象を理解しようとする視点は、対人支援の在り方に深く通ずるところがありました。

受講生の感想

(笠井先生の講義)
患者さんやそのご家族と話す際には、自分が誰の視点で見て、考えているのか、患者さんの”家族” ”保護者” ”母親”ではなく、一人の主体性をもった人として会っているのだということを意識していきたいと思いました。

(松本先生の講義)
薬物や自傷などによりむしろ生き延びてきた「安心して人に依存できない」病理を抱える人たちに対して何が真に有効な支援なのか、視点を大きく変える必要性を強く感じさせられました。

(澁谷先生の講義)
ヤングケアラーの実態について、統計的な資料とナラティブの両方から知ることができました。「ヤングケアラー」という概念・言葉ができることで切り取ることのできる現象があり、社会学的な視点から生まれた言葉が支援にもつながるプロセスがあるとわかりました。

(上野先生の講義)
意識的にも無意識にも自分が加害者になっている可能性があることに気がつき、とても胸が苦しくなりました。被害や加害に関して普段どれだけ見ないようにしているか、社会や自分を変える機会をどれだけ逃してきたのかということに愕然としています。些細なことに敏感に感じとり、考え、声に出していけるようになりたいと思いました。

  
  

C-1 職域架橋型コース 1月活動報告

日時
2022年1月8日(土)
2022年1月9日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 職域架橋型コース 1月活動報告
  • C-2 職域架橋型コース 1月活動報告
  • C-2 職域架橋型コース 1月活動報告
  • C-2 職域架橋型コース 1月活動報告

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋型コースの1月講義が開催されました。

1月8日午前は、新井英靖茨城大学教育学部教授から「学校領域における多職種連携~教育と医療の立場の違いを超えた協働のあり方~」について、具体的な相談場面を想定したアプローチも含めてお話いただきました。学校教師の文化的側面や教育の立場から他専門職がどのように捉えられる傾向にあるか等の視点を学び、互いの専門性や背景を理解する大切さを再認識することができました。
午後は、中原睦美鹿児島大学大学院臨床心理学研究科研究科長/教授から「コラージュ療法の理論と実践~コラージュ・ボックス法を中心に~」というテーマでご講義いただきました。受講生それぞれがコラージュ制作を体験し、感じること、表現することに集中した貴重な時間となりました。また、ボックス法について学校領域での臨床を中心に実践をご紹介いただき、コラージュ療法の手続きや適用性、クライエントに向き合う姿勢を学びました。
1月9日午前は、藤森麻衣子国立研究開発法人国立がん研究センター室長から「オンコロジー領域の心理社会支援」と題して、研究データやモデルを示しながらサイコオンコロジーの知見をご紹介いただきました。グループワークでは、架空の状況における患者や家族とのコミュニケーションの取り方について意見交換を行い、がん医療における心理社会的支援の必要性への理解を深めることができました。
午後は、能智正博東京大学大学院教育学研究科教授から「質的研究入門~ナラティヴの重要性~」について、お話いただきました。質的研究の概観に加え、ナラティヴの意味や構造、その捉え方について詳しくご解説いただきました。その後、個人ワークではインタビューのサンプルデータを読む体験を行い、質的研究の視点や語りの奥深さと多様性を感じることができました。

受講生の感想

(新井先生の講義)
学校の先生が大事にしている「価値」を解説していただき、普段の関わりのなかでの疑問が解けました。違いに自覚的になり、その人を理解しようとしながら連携していきたいと思います。

(中原先生の講義)
画用紙が届いた段階から何が始まるのだろう?と大変ワクワクしながら講義を受けることが出来ました。遠隔ではありましたが、先生や受講生の皆様と同じ時間を共有し、作品を作っていく時間は純粋に楽しく、思い出深い体験となりました。

(藤森先生の講義)
各々の気持ちを適切に理解した上での相互のコミュニケーションがいかに大切であるか、そして生きる力にも大きく影響をもたらすものなのか、強く伝わってきました。当事者・家族にとって悲嘆のある状況も含めての支援では、よりコミュニケーションが保障されるべきと感じました。

(能智先生の講義)
ナラティヴは自然とその方から出てくるものという印象を持っていました。しかし、インタビュアーが求めていること、対象者の自己呈示にとどまらず、社会、文化的な力もナラティヴを生み出す力に影響していることを新たに学ぶことができました。

  
  

第4回公開シンポジウム 活動報告

日時
2021年12月20日(月)~2022年1月4日(火)
方法
特設サイトにて期間中オンデマンド配信(要申込)
  • 第4回公開シンポジウム活動報告
  • 第4回公開シンポジウム活動報告
  • 第4回公開シンポジウム活動報告

プログラム

当事者中心の時代の専門性
~対人支援の倫理的転回に向けた内なる対話~

趣旨説明

笠井清登(東京大学大学院医学系研究科教授)

精神分析の訓練と文化の問題

富樫公一(甲南大学文学部 教授)

心が消えゆく時代の心の専門家

東畑開人(十文字学園女子大学 教育人文学部 心理学科 准教授)

写真で伝える被災地・紛争地の声、 そしてルーツをめぐる旅

安田菜津紀(フォトジャーナリスト)

対談:~中動態と当事者研究~

國分功一郎(東京大学大学院総合文化研究科 准教授)
熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター 准教授)

パネルディスカッション

富樫公一/東畑開人/安田菜津紀/國分功一郎/熊谷晋一郎
司会:熊倉陽介/笠井さつき

  

概要

文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラム 東京大学 職域・地域架橋型価値に基づく支援者育成 第4回公開シンポジウム「当事者中心の時代の専門性~対人支援の倫理的転回に向けた内なる対話~」が開催されました。今年度は特設サイトを立ち上げ、期間中オンデマンド配信による開催としたことで1277名から申込みをいただき、例年以上にたくさんの皆様にご視聴いただくことができました。

はじめに、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授よりTICPOC及び本シンポジウムの趣旨について説明がありました。その後、富樫公一甲南大学文学部教授から「精神分析の訓練と文化の問題」について、東畑開人十文字学園女子大学教育人文学部心理学科准教授から「心が消えゆく時代の心の専門家」についてお話いただきました。また、フォトジャーナリストの安田菜津紀さんから「写真で伝える被災地・紛争地の声、そしてルーツをめぐる旅」というテーマでご講演いただきました。その後、「~中動態と当事者研究~」について國分功一郎東京大学大学院総合文化研究科准教授と熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授による対談、パネリスト全員によるディスカッションが行われました。一日を通して、自己と他者の境界や社会・歴史的文脈を踏まえた人間観及び倫理観について考えさせられる貴重な機会となりました。

C-2 地域連携型コース 12月活動報告

日時
2021年12月11日(土)
2021年12月12日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 職域架橋型コース 12月活動報告
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  • C-2 職域架橋型コース 12月活動報告
  • C-2 職域架橋型コース 12月活動報告

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの12月講義が開催されました。

12月11日午前は、北中淳子慶應義塾大学文学部・大学院社会学研究科教授から「医療人類学の基本と最前線」について、うつ病に焦点を当ててお話しいただきました。ひとつの病が社会的・文化的・歴史的にどのように構成されているか医療人類学の視点から眺めてみることで、改めて精神医学は不確実性を有していることや多様な説明モデルを有していることを学びました。
午後は、大塚耕太郎岩手医科大学神経精神科学講座教授から「東日本大震災後のメンタルヘルス対策」についてお話しいただきました。被災地支援のみならず、自殺予防対策プログラムや日頃からの地域のメンタルヘルス問題への取り組みのお話を通して、医療・保健・福祉・生活支援等、地域全体の体制を知り連携していく大切さや長期化を想定した支援の方法論、支援者としての基本姿勢を学びました。

12月12日午前は、鶴田信子被害者支援都民センター心理相談担当責任者より「事件・事故の被害者支援」について、都民センターの機能のご紹介から被害者支援の歴史や法制度、トラウマインフォームドケアの視点まで幅広くご講義いただきました。グループワークでは、架空の状況に対して多様な立場でできる関わりを考え意見交換をしました。誰もが被害者支援に関わる可能性があること、また遠巻きにせず関わることが求められていることを再認識することができました。
午後は、水流聡子東京大学総括プロジェクト機構『QualityとHealthを基盤におくサービスエクセレンス社会システム工学』総括寄付講座特任教授から「対人支援サービスの質の評価とPDCAサイクル」についてお話いただきました。概念モデルやデータを用いながら品質管理工学の知見をお示しいただき、質の評価が難しい対人支援の領域においても構造化や標準化、効率化を目指す視点を取り入れることの意義と基本的な考え方を学びました。

受講生の感想

(北中先生の講義)
うつ病がどのように医療化されていったのかについての学びを通して、今まで考えたことのなかったスケールの構造の中で、医療、文化、経済など様々な相互作用が起きていることを知りました。視界が広がるきっかけを頂いたように思います。

(大塚先生の講義)
震災前から自殺予防対策として地域で取り組んできた活動が、震災時のこころのケア、そしてコロナ禍の対策へと繋がっていること、日頃からのネットワーク作りが大切であるということを学びました。

(鶴田先生の講義)
被害者支援の活動を通してトラウマインフォームドケアが実際にどのように行われているか、そして私たちができることは何かを学ぶ機会となりました。支援にあたり、被害者に起こりうるのが精神・身体的問題と考えてしまいがちでしたが、それだけではなく生活環境や司法手続き上の問題や二次被害といった、事件後の現実の中で生きることに伴う問題に配慮しながら、それぞれの立場や職場でできる支援を考えていきたいです。

(水流先生の講義)
「質の評価」が難しい対人援助の分野においても、用語の定義を押さえ、カテゴリー化し、必要なデータを蓄積することで、最低限を担保する質の均霑化や、省思考・スリム化による対人/エクセレントサービスへの注力など、今後の業務に活かしたい大変示唆に富んだお話でした。

C-1 職域架橋型コース 11月活動報告

日時
2021年11月20日(土)
2021年11月21日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-1 職域架橋型コース 11月活動報告
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  • C-1 職域架橋型コース 11月活動報告
  • C-1 職域架橋型コース 11月活動報告

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋型コースの11月講義が開催されました。

11月20日午前は、金生由紀子東京大学大学院医学系研究科准教授から「発達障害の臨床」というタイトルで、障害の概念や歴史から臨床のご経験を踏まえた治療・支援の視点に至るまで幅広くお話いただきました。また、成長に伴う状態像の変化や症状の多様性、併発症状などについてもご説明いただき、基本的な認識をもった上でクライエント一人ひとりにアプローチしていく大切さを改めて確認することができました。
午後は、黒田美保帝京大学文学部心理学科教授から「発達障害のアセスメント」についてご講義いただきました。ADOS-2やADI-Rなど自閉スペクトラム症に特化したアセスメントを詳細にご紹介いただくとともに、モデル映像を用いて働きかけや行動観察など日々の臨床にも活きるインフォーマルアセスメントの視点を学ばせていただきました。

11月21日午前は、中村紀子中村心理療法研究室/治療的アセスメント・アジアパシフィックセンター臨床心理士から「見えない心を可視化する~心理アセスメントによるケース理解~」というタイトルでご講義いただきました。協働的/治療的なアセスメントの実際について、臨床実践のお話を通して具体的なプロセスをご紹介いただきました。心理検査は、患者さんが自己理解を深めよりよく生きていくために役に立つものであり、活用によって非常に治療的に機能することを学ぶことができました。
午後は、藤山直樹上智大学総合人間科学部心理学科名誉教授から「精神分析を生きる、そして生かす」というタイトルで、 精神分析家としての生き方や“精神分析とは何か”についてご講演いただきました。実践のお話から日常生活での人間関係とは異なる精神分析という特殊な営みの中での人間関係やその臨床に触れ、精神分析の世界を垣間見させていただく貴重な機会となりました。立場や職種を超えて、精神分析の概念をもつことや支援者自身が精神分析を経験することが一般的な臨床においても有用であることを学ぶことができました。

受講生の感想

(金生先生の講義)
ASDやADHD、チックの症状やそれぞれについて併発症、神経学的な説明や薬物療法まで多岐にわたって「発達障害」を学ぶ貴重な機会を得ることができました。

(黒田先生の講義)
“知能検査でわかる困っていること≠発達障害の症状で困っていること”に自覚的にならなければいけないと再確認しました。ADOS-2やADI-Rなども学んでいきたいです。

(中村先生の講義)
テストの解釈や面接スキル、クライエントさんと共同創造する姿勢などがあってこその協働的/治療的アセスメントだと感じました。心理検査結果からまさに“見えない心が可視化”され、検査を通して心が見つめられたことに感動を覚えました。

(藤山先生の講義)
きれいごとではなく、真剣に二人の間に起こっていることを扱う姿勢を学ぶことができました。精神分析的な見方を身に着けて、日々の臨床に生かせるように精進したいと思いました。

職域・地域架橋型外部実習 活動報告

日時
2021年10月31日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告
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  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告

概要

職域・地域架橋型外部実習が開催されました。

午前は、TICPOC受講生から「支援の現場から考えるTICPOC」として、それぞれの現場で日々感じている課題意識や葛藤、組織変革に向けた取り組みなどを発表してもらいました。
午後一つ目のセッションでは、昨年に引き続きオンラインで富士癒しの森と中継を繋ぎ、「森の文化祭」の演奏会の音楽、焚火、自然を味わいました。
二つ目のセッションでは、「入院患者さんの権利擁護と治療・医療の狭間で抱えた葛藤の共有と向き合い方の検討」というテーマで、医師や看護師から話題提供した後、グループに分かれて架空の状況をもとに“スタッフとしてどう対応したいか”“患者さんの立場でどう対応してほしいか”意見交換を行いました。多職種で意見を出し合うことで、それぞれの視点や役割について理解を深める機会となったとともに、職種の垣根を越えて、似たような葛藤を抱えている部分についても共有することができました。

最後に、当院のピアサポートワーカーから「リカバリーストーリー」をお話いただき閉会しました。

受講生の感想

(富士癒しの森との中継への感想)
まきを燃やす煙、雨の音、樹木の葉、すばらしい歌声と演奏、さぞかし澄み切った空気なんだろうな、とオンラインながら、自然の良さを満喫いたしました。

(午後のグループワークへの感想)
他職種の方々と架空の状況に対して話し合うことで、視点の持ち方や、ケース理解の仕方が異なることを体験できましたし、それが自分にはない視点で新鮮に思いました。モヤモヤを解消するのではなく、抱えながら自身の実践を振り返る姿勢の大切さを教えていただきました。

(リカバリーストーリーへの感想)
ご自身が経験してきたことを前向きに捉えていらっしゃり、率直に「すごい」と感じた。貴重なリカバリーストーリーをお聴きする機会をいただき、自分の中にある価値観のようなものが触発される感覚があった。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 10月活動報告

日時
2021年10月2日(土)
2021年10月3日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
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  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 10月活動報告

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの10月講義が開催されました。

10月2日午前は、三宅和彦文京区子ども家庭支援センター主査から、「文京区の虐待対策と子ども家庭支援」についてお話いただきました。子ども家庭支援センター、児童相談所、要保護児童対策地域協議会のそれぞれの役割や具体的な虐待対応の流れについてご紹介いただきました。その後、虐待に関わる臨床や家庭支援、他機関連携において受講生が日々感じている課題意識や意見を交流し理解を深めました。
午後は、佐々木理恵東京大学医学部附属病院シニアピアサポートワーカーから「リカバリー志向実践のひとつとして」というタイトルで、リカバリーの概念やピアサポートの定義、TICPOC Dコースの実践など幅広くお話いただきました。また、宮本有紀東京大学大学院医学系研究科准教授から「ピアサポートワーカーとコ・プロダクション」と題して、事例をもとに共同創造の理念や取り組みをご紹介いただきました。後半は、フィッシュボウルの手法を用いて受講生参加型で対話が展開され、ピアサポートワーカーと共に働いた経験や専門職・当事者それぞれの立場で大切にしようとしていることについて語られました。

10月3日午前は、夏堀龍暢祐ホームクリニック吾妻橋院長から「地域精神医療のプリンシプル」というタイトルで、医療倫理や意思決定支援の概念からコロナ禍における在宅診療の状況まで、多岐にわたるお話をいただきました。また、架空事例を用いてグループワークを行い、専門職同士の連携(チーム支援)の実践に求められる姿勢や考え方を学びました。
午後は、石井綾華NPO 法人Light Ring.代表理事から「学校メンタルヘルスと若者の自殺対策」についてお話いただきました。若者の自殺対策やLight Ring.のアプローチの概要を紹介いただき、支え手のケアや支援者自身のセルフケアについて考える機会となりました。後半は、ゲートキーパー講座ringsのワークを部分的に体験し、自身の問題解決タイプに合わせた対応法や話の聴き方のポイント、リラックス法を学びました。

受講生の感想

(三宅先生の講義)
大切なことは、それぞれ持っている情報を出し合い、役割を確認し、今後自分の立場でできることを話し合うことだと実感しました。今回、三宅先生のお話を聞いて、児童福祉の法的なことや虐待への介入について知ることができました。

(佐々木さん、宮本先生の講義)
日本のピアサポートワーカーの現状を学び、専門職は専門知を防衛とせず、人間対人間として出会っていく覚悟が必要であるように感じた。そのためには、専門職に内在するスティグマに気づいていくことや、専門職自身の当事者性に気づき受け入れていくこと、その上で専門知を活かすことが役割であると感じた。

(夏堀先生の講義)
医療倫理から日々の実践を振り返り、省察的実践の手がかりを教えていただきました。医学的適応、患者の意向、周囲の状況を踏まえた上で、QOLの向上を考えていくことが求められますが、普段の実践では、QOL向上まではなかなか手が回らない部分があること、それはなぜなのかにこれから意識的になりたいと思いました。

(石井先生の講義)
「身近に支援する人を支える」という視点が、制度の狭間でもあり、かつとても実践的であると今日のお話を聞いて気づかされました。その方法も、大学で研修やワークを行うなど、1番届けたい人に最も効果的に伝わる手段を選んでいて意義のある活動だと思いました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
Cコース合同 9月活動報告

日時
2021年9月11日(土)
2021年9月12日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 9月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 9月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 9月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 9月活動報告04
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同 9月活動報告05

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同の9月講義が開催されました。
9月11日午前は、榊原英輔東京大学医学部附属病院講師から「これからの『価値』の話をしよう~未来を生き延びるための哲学~」、村井俊哉京都大学大学院医学研究科教授から「精神医学の多元的理解~多職種協働における折衷主義から多元主義へ~」についてご講義いただきました。Values-based practice(以下VBP)の基礎となる考え方からVBPとほかの理論の関係、精神科医療実践における多元性まで幅広くお話いただき、相手と同じ前提条件に立っているとみなさずに対話する姿勢をもつことの大切さを改めて学ぶことができました。
午後は、東畑開人十文字学園女子大学人間生活学部准教授/白金高輪カウンセリングルーム臨床心理士から「臨床心理学の社会論的転回」についてお話いただきました。個々の援助を考えるためには社会論的アセスメントが必要であること、自分と異なる「価値」をもつ人と共同するために人類学や社会学といった人文知の視点が役立つことを学びました。

9月12日午前は、島本禎子杉並家族会/NPO法人あおば福祉会代表から「家族が望む精神科医療と地域社会」について、当事者家族のお立場からお話いただきました。日本の家族会の歴史や精神科医療の実際、家族会に寄せられる多様な相談内容について知り、支援者としての姿勢や地域社会の在り方について考える貴重な機会となりました。
午後は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「22q11.2欠失症候群のある人の統合的支援の必要性」について医学の立場からお話いただいた後、三ツ井幸子22HEART CLUB副代表から「22q11.2欠失症候群~重複する障害を抱えた子どもとその家族の生活~」というタイトルで当事者家族のお立場からご講義いただきました。医療・福祉・教育の垣根を超えた支援の仕組みやコーディネーター役割を担える人材が求められていることを具体的なケースのお話から学ぶことができました。その後、身体・知的・精神の領域をまたがる多疾患併存に対する支援、発達段階に合わせた切れ目ない支援について全体で意見交換を行いました。

受講生の感想

(榊原先生・村井先生の講義)
自分自身がもっている「価値」にも自覚的になること、またそれを相手に提示(対話)することで、相手の「価値」もクリアになってくるのだと改めて考えました。

(東畑先生の講義)
それぞれの価値の下、何をもってその当事者のよい適応となるのか、偏らずに見つめていき、支援方法を探っていきたいと思いました。人文知を広げていくこと、それが直接的でなくても、自身の視野(仕事上だけでなく、人としても)を広げることとなると感じました。

(島本先生の講義)
家族で抱えてしまう一方で、家族で抱えるように社会が強いている側面もあり、専門職としてだけでなく、地域の住民の1人としてこの問題について考え続けていかなければならないと感じました。

(三ツ井先生の講義)
「医療、福祉、教育、就労などについてこうなるといいなと思ったこと」の内容を拝聴し、たくさんの声に心動かされました。自分の立場でできることは何か、今後の取り組みの方向性を考えていきたいと思います。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋型コース 8月活動報告

日時
2021年8月28日(土)
2021年8月29日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋型コース 8月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋型コース 8月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋型コース 8月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋型コース 8月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋型コースの8月講義が開催されました。
8月28日午前は、毛利伊吹上智大学総合人間科学部准教授から「認知行動療法において問いかけること~ソクラテス式質問の紹介~」というタイトルで、前半は認知行動療法の基礎となる第2世代の理論、後半はソクラテス式質問法についてご講義いただきました。架空事例を用いたブレーンストーミングを通して、体験的に認知行動療法の考え方に触れ、理解を深めることができました。
午後は、若佐美奈子神戸女学院大学人間科学部准教授から「非分析的臨床場面での精神分析的視点」についてご講義いただきました。精神分析的な耳の傾け方について解説いただき、事例検討のグループワークでは、クライエントの心の中にある対象や防衛機制を見立てる視点について学びました。精神分析的視点をアセスメントに応用することによって見えてくるものやそこから考えられるかかわりを具体的に学ぶことができました。

8月29日午前は、伊藤絵美洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長から「スキーマ療法~入門ワークショップ~」というタイトルで、早期不適応的スキーマの解説を中心に、スキーマ療法の治療戦略や導入の注意点、他の心理療法との相違点に至るまで幅広くご講義いただきました。また、安心安全の確保やセルフケアの重要性について、改めて考えるきっかけとなりました。
午後は、松木邦裕京都大学名誉教授から「多職種協働における力動的視点の適応」について、精神力動的視点を治療や治療のためのマネジメント、多職種協働にどのように活かすか、ケースをご紹介いただきながら解説いただきました。ネガティブケイパビリティの概念をはじめとして、目の前の患者さんへのかかわり方やこころの在り方について、明日からの臨床に役立つお話をいただき、支援者としてエンパワメントされる機会となりました。

受講生の感想

(毛利先生の講義)
認知行動療法の歴史的経緯(第2世代・第3世代等)から、実践的な「ソクラテス式質問」の具体的な進め方まで、理論と実践とが一望でき、理解が深まりました。

(若佐先生の講義)
こころという見えないけれどとても大切なものを、自分のこころという見えないものを一生懸命使って見ようとする営みの、尊さと困難さと奥深さを改めて学ばせていただきました。

(伊藤先生の講義)
スキーマが繰り返される学習の中で形成されるというところで、このあたりが複雑性PTSDの方に有効となる部分なのかなと感じました。スキーマ療法の実践はすぐには難しいと思いますが、スキーマに思いを馳せながら接することがトラウマインフォームドケアになるのではないかと一つの方向性を知ることができ勇気づけられました。

(松木先生の講義)
現場で面接をしていると、「分からない」という感覚をもつと不安になったり自信をなくしたりして、どうすればよかったのか答えを出そうとしてしまいます。でも、考え続けることから逃げずに悩み続けることが大切で、難しいけれど、それがこの仕事なのだと感じました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター 
C-2 地域連携型コース 7月活動報告

日時
2021年7月3日(土)
2021年7月4日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 地域連携型コース 7月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 7月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 7月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 7月活動報告04
  • C-2 地域連携型コース 7月活動報告05

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの7月講義が開催されました。
7月3日午前は、竹島正(一社)自殺予防と自死遺族支援・調査研究研修センター理事/川崎市総合リハビリテーション推進センター所長から「地域共生社会におけるメンタルヘルスの戦略」についてお話いただきました。
心理社会的課題を抱えた人への支援について、調査研究に基づく支援モデルをお示しいただき、これからの自殺予防における地域の重要性についてご教示いただきました。
午後は、髙瀨顕功大正大学社会共生学部専任講師から「地域と共に生きる寺院と『集いの場』」について、お話いただきました。地域や医療など寺院の外で行われる社会問題やこころを扱う活動、寺院を集いの場として行われる地域活動についてご紹介いただきました。コロナ禍で始まった在日外国人への「支縁」活動や地域寺院の社会貢献など最近の実践についても触れていただき宗教のもつ様々な役割や可能性について学ぶことができました。
7月4日午前は、「精神保健の Organizational Change に向けた研究の方法論」という演題で、山口創生国立精神・神経医療研究センター室長、金原明子東京大学医学部附属病院特任助教からお話いただきました。山口先生には、精神科治療の歴史的な文脈から研究の必要性やリカバリーの概念についてご説明いただきました。また、共同意思決定促進ツール『SHARE』についてもご紹介いただきました。金原先生には、実際の研究を例にしながら、研究を始めるポイントや流れについて具体的に解説いただきました。お二方のご講義から、研究と臨床を別のものとせず、つながりをもって捉える視点を学ぶことができました。
午後は、藤井千代国立精神・神経医療研究センター部長から「精神障害にも対応した地域包括ケアと意思決定支援」という演題で、地域包括ケアシステム構築により目指す方向性から精神科の医療倫理まで、多岐にわたってお話いただきました。架空事例を通して、精神科特有の倫理的なジレンマや今後の地域ケアの課題について考える貴重な機会となりました。

受講生の感想

(竹島先生の講義)
危機を介入のタイミングと捉え、個別対応での燃え尽きを防ぎ、切れ目のない支援を生むためにも地域システム化していくことの重要性を学びました。

(髙瀨先生の講義)
中間集団として、公と私を繋ぐ集いの場としての役割としての寺院、スピリチュアルな問いに応答する活動について学び、自分に何ができるのか、考えるきっかけとなりました。

(山口先生の講義)
当時者の権利と利益を守るために研究は必要で、当事者抜きの研究では現場に新しい知見を実装できないことや当事者との共同研究や臨床での研究の必要性を改めて感じました。

(金原先生の講義)
現場で感じる理不尽さや葛藤を種として、研究に展開していく方法について知ることができました。また研究すること自体が、精神保健そのものの課題を組織的に変化させうるきっかけにもなるのだと、エンパワメントされたように思いました。

(藤井先生の講義)
複合的な困難を抱え地域で生活する人の支援の一端で携わる者として、今ある中でできる支援を考えること、これからどうなっていけば良いかを考え続けて何かの行動につなげることをしていきたいと思いました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋型コース 6月活動報告

日時
2021年6月12日(土)
2021年6月13日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告01
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告02
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告03
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告04
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告05
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告06
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告07
  • C-1 職域架橋型コース 6月活動報告08

概要

養養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋型コースの6月講義が開催されました。
6月12日午前は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「人が人を支援するということを再考する」というタイトルで、C-1コースの主眼と対人支援の見えにくい作用点について説明がありました。また、濱田純子東京大学医学部附属病院こころの発達診療部臨床心理士・公認心理師から、年間講義内容の概説と事例を用いながら本コースのねらいについて補足説明をしました。
午後は、津川律子日本大学文理学部心理学科教授から「心理臨床実践と研究の倫理」についてご講義いただきました。事例検討のワークを通して、倫理的なジレンマから目を逸らさず利益とリスクを多角的に見立てることや職場やチームで話し合うことの大切さを学びました。また、研究における倫理についてもお話いただきました。

6月13日午前は、近藤伸介東京大学医学部附属病院特任講師から「総合病院精神医学と多職種協働」というタイトルでご講義いただきました。東京大学医学部附属病院における多職種協働の実践の紹介や総合病院精神科の意義、精神疾患のある人の身体的健康について幅広くお話いただきました。その後、市橋香代東京大学医学部附属病院特任講師から「『からだの病気』を抱えた人への『こころのケア』」と題して、コンサルテーション・リエゾン精神医学の構成や具体的なアプローチについて、理論と実践を臨床に基づいてわかりやすくお話いただきました。
午後は、森田健太郎東京大学医学部附属病院助教から「統合失調症」、里村嘉弘東京大学大学院医学系研究科医学のダイバーシティ教育研究センター准教授から「うつ病」について、当事者の語りやCOVID-19との関連を含む最新の研究知見、トラウマインフォームドケアの観点を盛り込んだお話をいただきました。また、神出誠一郎東京大学医学部附属病院准教授に「精神科薬理学」について、精神科治療学の発展から現在臨床で広く採用されている代表的な疾患に対する薬物療法まで広く解説いただきました。

受講生の感想

(C-1コースの趣旨と概要)
対人支援において、「見えにくい」・「わかったつもりでいる」ことを意識化する大切さを再認しました。また、TICPOCで学ぶことの概観を丁寧にご説明いただいたので、どのような視点で、受講していけばよいかを把握することができました。

(津川先生の講義)
倫理というと固いイメージがあり、とっつきにくさが強かったのですが、今回の講義を通して、意外に身近にあるもので、仕事の中で割といつも考えていることだと気づきました。状況によって、相手との関係性によって、変わっていくものだととらえ、職場でも話し合っていきたいと思います。

(近藤先生の講義)
チームの体制や形、チームの意義や必要性を踏まえてチーム医療について考えていきたいと思いました。精神症状に目が向きやすいのですが、患者様の日常での困りごとにまず目を向けること、解決につなげることの必要性を学ぶことができました。

(市橋先生の講義)
体の病気におけるリエゾンの大切さがよく伝わりました。ブリーフやナラティブなど会話によることの支援が身体への働きかけの大切なツールになるとよく理解できました。まだまだ心理士が活躍できる場があると思いました。

(森田先生の講義)
統合失調症の多彩な症状について体系的に学ぶことができました。当然症状の軽減ないし消失が治療の目的だと思っていましたが、むしろ日常生活に直結する生活技能が十分でないことやセルフスティグマによる副次的な苦悩を最小限にするようなアプローチも重要だということにとても刺激を受けました。さらには病気になったことが成長のチャンスとなり得ることは、心理職としても何かもっとできることがあるのではと、少し希望のようなものを感じました。

(里村先生の講義)
うつ病について疫学的なデータやCOVID-19の社会状況の中での関連性を最初にお示しいただいたことで、社会とも関連づける視点を持ちながら講義を拝聴することができました。双極性障害との鑑別診断の難しさについても理解が深まりました。

(神出先生の講義)
現在の薬剤の説明だけではなく、歴史からご紹介いただき、とても楽しく勉強できた。また歴史を知ることで薬剤の副作用、効果への理解も深まったように感じる。そのため、医師の処方をみて、どのような意図があってその処方にしているのかを考える視点が加わったように感じる。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 5月活動報告

日時
2021年5月22日(土)
2021年5月23日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 地域連携型コース 5月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 5月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 5月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 5月活動報告04
  • C-2 地域連携型コース 5月活動報告05
  • C-2 地域連携型コース 5月活動報告06
  • C-2 地域連携型コース 5月活動報告07

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの5月講義が開催されました。
5月22日午前は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から本プロジェクトの目的と核となる概念について詳細な説明がありました。また、熊倉陽介東京大学大学院医学系研究科精神保健学分野/国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部科研費研究員から、「どうして住まいの支援からはじめる必要があるのか?-ハウジングファースト」をテーマに話題提供をしました。
午後は、熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授、上岡陽江ダルク女性ハウス代表、綾屋紗月東京大学先端科学技術研究センター特任講師より「当事者研究」について、歴史と理念から現代における当事者研究の問題意識まで幅広くお話いただきました。また、参加する人たちが一緒に作るための安全な場作りや情報保障など、具体的な実践知を学ぶことができました。
5月23日午前は、國分功一郎東京大学総合文化研究科・教養学部准教授から「責任、帰責性、『自己責任』」と題したご講演をいただきました。中動態について詳しくご説明いただいた後、意志と責任の違いや関連性、社会の中でどのようにこれらの概念が使われているかお話しいただきました。
午後は、亀岡智美兵庫県こころのケアセンター副センター長兼研究部長から「トラウマインフォームドケア」についてお話いただき、トラウマとトラウマインフォームドケアの理論と実践を学びました。また、事例を用いてトラウマインフォームドな対応について検討するワークを小グループに分かれて行いました。
両日ともに、講義後に受講生同士の自己紹介を行い、一年間共に学ぶ仲間がどのような課題意識をもっているか知る機会となりました。

受講生の感想

(C-2コースの趣旨と概要)
対人援助をする中で、自身の無自覚な側面に気づき、向き合っていく大切さと必要性を意識させていただきました。また、パワーの格差が生じる関係性の中で、人としての尊厳性の平等感覚を見失わずにいられるだろうかと、ドキッとしました。

(熊谷先生・上岡先生・綾屋先生の講義)
人生の主役は当事者であるにも関わらず、当事者の真のニーズは何なのかという最も重要なことを忘れてはならないと再確認させていただきました。

(國分先生の講義)
「責任」「意志」「帰責性」が混同され単純化され悪用されていることや、「自己責任」というものへの巧妙なすり替え、そういったものによって生きづらさへと追い立てられている人々に何ができるのか?何がしたいのか?ということを改めて自分に問いながら学びました。

(亀岡先生の講義)
トラウマインフォームドケアの視点や構造をとても分かりやすく伝えていただきありがとうございました。図や事例を通しての説明がとてもよかったです。ワークでもいろいろな立場の方にお話を聞かせていただき、学びが深まりました。「トラウマを抱えているのでは?」の視線を常にもちたいと思います。

【C】2020年度

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
Cコース合同 2月活動報告

日時
2021年2月20日(土)
2021年2月21日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • Cコース合同 2月活動報告01
  • Cコース合同 2月活動報告02
  • Cコース合同 2月活動報告03
  • Cコース合同 2月活動報告04
  • Cコース合同 2月活動報告05

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同の2月講義が開催されました。
2月20日午前は、髙瀨顕功大正大学社会共生学部専任講師から「地域と共に生きる寺院と『集いの場』」について、現代日本人の宗教概念から地域資源としての寺社教会等の可能性まで幅広くお話いただきました。また、寺院の社会活動の実践について、貧困・自死・終末期などの社会問題に対する活動や集いの場としての機能をご紹介いただきました。
午後は、松本俊彦国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長から「薬物依存症をもつ人を地域で支える」というテーマでご講演いただきました。薬物依存症をもつ人の社会的孤立などの背景や社会内処遇の重要性について、実践に基づいた具体的なお話をいただき、ハームリダクションの目的と実際を学ぶ機会となりました。
1日目の講義後に、小グループに分かれてTICPOC Cコースの一年間の学びについて意見交換と振り返りを行いました。
2月21日午前は、東畑開人十文字学園女子大学人間生活学部准教授/白金高輪カウンセリングルーム臨床心理士から「臨床心理学の社会論的転回」についてお話いただきました。心理療法が社会的な文脈の中で価値づけられている側面や“どこで誰に役立つものか”意識する視点などをお話しいただき、心理的援助そのものを社会論の立場から捉え直すきっかけをいただきました。
午後は、澁谷智子先生から「ヤングケアラー」の現状について、調査データや当事者の声、イギリスの『学校でのヤングケアラープログラム』などに触れながら概説いただきました。成長途中の子どもであることを意識した支援の必要性と概念を発信することで支援につながる選択肢や可能性を増やしていくことの大切さを学びました。その後、森脇誠潔寒川町立寒川小学校総括教諭から「対人支援における学校現場の課題」について、ヤングケアラーのような現象を見える化する概念を知ることの意味を、教育相談の事例を用いてお話いただきました。また、他機関連携において、顔の見える関係性の中で“誰のための支援か”対話をすることから始めることの重要性を学びました。

受講生の感想

(髙瀨先生の講義)
寺社・教会は安心して悩める場として、専門機関とは異なる立場で援助希求を満たしたり、必要に応じて専門機関につなげる架け橋のような役割を担ったりすることができるのではないかと思った。

(松本先生の講義)
薬物依存に関してスティグマが存在しますが、患者さん達の背景を理解するとそれまで見えなかった患者さんの困難等が見えてきて見方が変わる事を再認識しました。

(東畑先生の講義)
今までに触れたことのない「医療人類学」という領域の情報に触れることができ、私たち(支援者)のスティグマには、文化・民族・社会などの目に見えない外的要因が大きく影響していることが再確認できました。

(澁谷先生の講義)
子どもがケアから解放され、選択肢が開かれ、自由に語ることも語らないこともできるように、多様な人たちがいることに想像力を持ちたい。

(森脇先生の講義)
具体的な事例や、教育現場での現状などをお聞きでき、また、あらゆる視点を持っていないと気づかないで見過ごしてしまうことも多いということに気付かされました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋型コース 1月活動報告

日時
2021年1月16日(土)
2021年1月17日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-1 職域架橋型コース 1月活動報告01
  • C-1 職域架橋型コース 1月活動報告02
  • C-1 職域架橋型コース 1月活動報告03
  • C-1 職域架橋型コース 1月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター 職域架橋型コースの1月講義が開催されました。
1月16日午前は、金生由紀子東京大学大学院医学系研究科准教授から「発達障害の臨床」というタイトルで、発達障害の障害概念や特性についてわかりやすくご講義いただきました。チック症や自閉スペクトラム症の臨床に基づいたお話から治療・支援の組み立てのための視点についても学ぶ機会となりました。
午後は、黒田美保帝京大学文学部心理学科教授から「発達障害のアセスメント」について、心理検査からインフォーマルな見立ての視点に至るまで、ビデオ等も用いながら具体的にご紹介いただきました。また、事例についてグループで意見を交換し、実際の支援に活きるアセスメントのポイントについて理解を深めることができました。

1月17日午前は、酒井美枝名古屋市立大学病院いたみセンター臨床心理士から「慢性疼痛患者の心理支援」について、いたみセンターのチーム医療の取り組みやACT(Acceptance and Commitment Therapy)の視点をお話いただきました。講義の後半では、複数の架空症例を用いたワークを通して、心理的アプローチを検討する考え方を学びました。
午後は、中原睦美鹿児島大学大学院臨床心理学研究科教授から「コラージュ療法の理論と実際~コラージュ・ボックス法を中心に~」というタイトルでご講義いただきました。受講生それぞれがコラージュ制作を体験し、表現を味わい自己と向き合う有意義な時間となりました。また、ボックス法について実践例を含めてご紹介いただき、パーツの準備からみえる対話性や安全性、クライエントに向き合う姿勢、基本的な解釈の視点などを学びました。

受講生の感想

(金生先生の講義)
発達障害など見えにくかったり、周りに理解されにくい症状で、本人が苦しみ、他の症状を併発してしまうということを理解することができました。

(黒田先生の講義)
アセスメントの手法について体系的に学ぶ機会になりました。価値に基づいてサービスを提供する上で根拠のある丁寧なアセスメントが重要だと強く感じました。

(酒井先生の講義)
痛みを抱え、病気と向き合いながら、自分らしく、生きていける方法を一緒に考えられたら、そういう方向に患者さんの意識・気持ちを向けられたら素敵だなと思いました。

(中原先生の講義)
講義だけでなく、実際に制作することで、コラージュ療法についてより深く学ぶことができました。コラージュの写真と自分の内的な対話により、自分の心を見つめる時間を終えて、とても心地よい感覚が残りました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 12月活動報告

日時
2020年12月19日(土)
2020年12月20日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの12月講義が開催されました。
12月19日午前のTICPOC演習では、患者会に携わるお二人から、病をもつ体験と、患者会の運営についてお話いただきました。身体を犠牲にしても働くことが社会規範となりうる可能性、その中では病をもつ苦しみは語れないことなど、健康にかかるマジョリティの視点の捉え直しについて討議できました。
午後は、上野千鶴子WANウィメンズアクションネットワーク理事長社会学者・東京大学名誉教授から「家父長制と資本制・再生産費用の分配問題を解く 1講 家父長制と資本制:再生産労働の分配問題をめぐって 2講 <当事者宣言>の社会学」というタイトルでご講義いただきました。データやモデルを示しながら理論と日常を繋ぎ合わせてわかりやすくお話いただき、福祉やケアに関する社会学的視点を学ぶことができました。

12月20日午前は、石井綾華LightRing.代表理事から「学校メンタルヘルスと若者の自殺対策」についてLightRing.の支え手支援の活動のご紹介も含めてお話いただきました。ユースゲートキーパー養成講座の教材動画を見た後で、小グループで感想や意見を交流し、予防的支援の普及について具体的に考える時間となりました。
午後は、石樵さゆり文京区子ども家庭支援センター公認心理師・臨床心理士から「文京区の虐待対策と子ども家庭支援」、鶴田信子被害者支援都民センター公認心理師・臨床心理士から「事件・事故の被害者支援」についてご講義いただきました。虐待相談や事件・事故の被害者支援の流れや配慮点、課題等について学び、どの現場でも出会いうる傷つきを抱えた人への関わりを見直す貴重な機会となりました。

受講生の感想

(TICPOC演習)
社会全体が優しく暖かい土壌として醸成されるように、まずは自分が「人にも自分にも」厳しくないような心持ちをできればいいなと思いました。

(上野先生の講義)
社会が抱える課題を忘却(見ないふり)するのではなく見える化し、一個人としてその課題と向き合い、社会を生きやすくできるような活動を、小さくてもよいのではじめていきたいなと思っています。

(石井先生の講義)
支援職に注意がいくと、どうしても支援する側、される側と線引きをしてしまいがちですが、人間はどちらの側面も持ち得、また、支援することが同時に支援されることにもなるということについて、大変勉強になりました。

(石樵先生の講義)
支援者に対して知識を伝えていくことと、支えていくことの大切さを改めて感じました。スクラムを組むという意識を持って職域を超えて協働できる環境が取りこぼしの少ない繋がる支援に重要なのだと改めて感じました。

(鶴田先生の講義)
事件・事故に遭うことが“特別なこと”として、今まで見えないものであったのが「見える化」した本日の学びを、時間をかけて消化していきたいと思います。

第3回公開シンポジウム 活動報告

日時
2020年11月29日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • 第3回公開シンポジウム 活動報告01
  • 第3回公開シンポジウム 活動報告02
  • 第3回公開シンポジウム 活動報告03
  • 第3回公開シンポジウム 活動報告04
  • 第3回公開シンポジウム 活動報告05
  1. 09:30-10:05
    TICPOC 2021年度Cコース受講説明会
    笠井清登(東京大学大学院医学系研究科教授)
  2. 10:05-10:45
    精神分析からみたこころの発達~対人支援におけるこころの使い方~
    池田暁史(文教大学人間科学部臨床心理学科教授)
  3. 11:00-12:00
    【特別講演】 心の物語の紡ぎ方~精神分析の劇的観点から~
    北山修(精神科医、精神分析家、九州大学名誉教授、前白鷗大学副学長兼特任教授)
  4. 13:30-14:10
    トラウマインフォームドケア
    野坂祐子(大阪大学大学院人間科学研究科准教授)
  5. 14:10-14:50
    家族の暴力への援助を考える
    信田さよ子(原宿カウンセリングセンター所長)

【特別企画】 永山則夫と向き合った日々が残したもの

  1. 15:05-15:10
    特別企画の趣旨説明および講師紹介
    笠井清登(東京大学大学院医学系研究科教授)
  2. 15:10-15:30
    永山則夫と向き合った日々
    石川義博(石川クリニック院長)
  3. 15:30-15:50
    『永山則夫 封印された鑑定記録』で伝えたかったこと
    堀川惠子(ノンフィクション作家)
  4. 15:50-16:35
    対談 石川義博・堀川惠子
    司会:福田正人(群馬大学大学院医学系研究科神経精神医学教授)

概要

文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラム 東京大学 職域・地域架橋型価値に基づく支援者育成 第3回公開シンポジウムが開催されました。今年は、オンライン配信による開催となり、昨年以上に多くの皆様にご参加いただくことができました。
はじめに、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授よりTICPOCの概要について詳細な説明がありました。
午前は、池田暁史文教大学人間科学部臨床心理学科教授から「精神分析からみたこころの発達~対人支援におけるこころの使い方~」、北山修九州大学名誉教授、前白鷗大学副学長兼特任教授から「心の物語の紡ぎ方~精神分析の劇的観点から~」についてお話いただきました。午後は、野坂祐子大阪大学大学院人間科学研究科准教授から「トラウマインフォームドケア」、信田さよ子原宿カウンセリングセンター所長から「家族の暴力への援助を考える」というテーマでご講演いただきました。その後、特別企画“永山則夫と向き合った日々”では、石川義博石川クリニック院長とノンフィクション作家の堀川惠子さんに対談いただき、一日を通して、クライエントとの向き合い方や支援者としてのこころの使い方について学ぶたいへん貴重な機会となりました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋型コース 11月活動報告

日時
2020年11月14日(土)
2020年11月15日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-1 職域架橋型コース 11月活動報告01
  • C-1 職域架橋型コース 11月活動報告02
  • C-1 職域架橋型コース 11月活動報告03
  • C-1 職域架橋型コース 11月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター 職域架橋型コースの11月講義が開催されました。
11月14日午前は、松田修上智大学総合人間科学部教授から「知能検査・認知機能検査によるアセスメント」についてお話いただき、検査の理論や解釈、支援への活用のポイントをご解説いただきました。また、演習では多職種協働の現場において、どのように検査結果を支援に活かすか事例をもとにグループで意見を交換しました。
午後は、中村心理療法研究室中村紀子国際ロールシャッハ学会会長・臨床心理士から「見えない心を可視化する~心理アセスメントによるケース理解~」についてお話いただきました。事例を用いながら協働的アセスメントについてご紹介いただき、心理検査というアセスメントツールを使うことの意味について問い直す貴重な機会となりました。

11月15日午前は、毛利伊吹上智大学総合人間科学部准教授から「認知行動療法」についてお話いただき、認知行動療法の進展や基本概念、モデルについて学ぶことができました。また、認知行動療法の視点を日常の相談業務に役立てるヒントについてご紹介いただきました。
午後は、伊藤絵美洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長から「スキーマ療法~入門ワークショップ~」についてご講義いただきました。スキーマ療法の理論や治療戦略から導入の注意点まで、幅広く具体的な例を交えながらご紹介いただき基本的な考え方を学ぶことができました。

受講生の感想

(松田先生の講義)
検査を受けるという行為自体が場合によっては侵襲的であったり、その人のトラウマにふれることになり得るということが印象的でした。
検査ひとつとってみてもトラウマインフォームドであることが重要なことがわかりました。

(中村先生の講義)
心理検査というフィルターを通すことで本人も周りも物事の本質が見えやすくなり、共通の視点を持つことができるなど、さまざまな面で「整える」効果があると感じました。

(毛利先生の講義)
認知行動療法は目に見えるものを対象にするけども、実は内面もアセスメントしたうえで適用かどうか検討されているというところが印象的でした。

(伊藤先生の講義)
自分も周囲の人も、何かしらのちょっとした生きづらさをもっていることは、自分(相手)が悪いのではなく、そういうスキーマを持つに至った体験があったのだと感じられると、少し優しくなれる気がしました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 10月活動報告

日時
2020年10月17日(土)
2020年10月18日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの10月講義が開催されました。
10月17日午前は、島本禎子あおば福祉会理事長から「家族が望む精神科医療と地域社会」についてご講演いただきました。家族会の歴史から現在の精神保健福祉医療・福祉に求められるものに至るまで、幅広くお話いただき、患者や家族の立場からの視点を得る貴重な機会となりました。
午後は、佐々木理恵東京大学医学部附属病院シニアピアサポートワーカーから「リカバリー志向実践のひとつとして」、宮本有紀東京大学大学院医学系研究科准教授から「共同創造とリカバリーカレッジ」についてお話いただき、リカバリーやピアサポートの理念と方法について学びました。その後、グループに分かれて講義を受けての感想交流及び意見交換を行いました。
10月18日午前は、亀岡智美兵庫県こころのケアセンター副センター長から「トラウマインフォームドケア」についてわかりやすくご説明いただき、トラウマとトラウマインフォームドケアの理論と実践を学びました。また、事例を用いて、トラウマインフォームドな対応について検討するワークを行いました。
午後は、水流聡子東京大学大学院工学系研究科特任教授から「対人支援サービスの質の評価とPDCAサイクル」についてご講義いただきました。個々の臨床知識を組織や社会システムに実装していくためのプロセスについて、具体的な実践を例にご紹介いただきました。支援の質の評価や改善を行うための方法論、支援の構造化・可視化のための基本的な考え方について学びました。

受講生の感想

(島本先生の講義)
相談のハードルを下げるために、心理教育が重要であると再認識しました。一方で、誰にでもなる可能性のあるものとして理解を広げることによって、「私の苦しみはそんなものではない」と苦しむ方もいると思うと、状況や深刻度などの多様さについても併せて伝えていく必要があると感じました。

(佐々木シニアピアサポートワーカー、宮本先生の講義)
自分にとってピアサポートという言葉がふんわりとした概念だったのですが、わかりやすい図示によって整理できました。ピアサポートの原則はどの関係性においても必要な要素であるように思い、ひとつひとつを深めたいと思いました。co-productionについても、「多様な視野を持ち寄る」とおっしゃられたことにしっくりきました。

(亀岡先生の講義)
「誰にでもトラウマがある」ことを念頭に、気付きを高めて安心・安全に配慮できるようになりたいと、日々の臨床を思い返す機会になりました。
自分を労わりつつ、かかわるひとにも思いを馳せられるように、まずは生活の中にトラウマを意識してみるようにしたいと思います。

(水流先生の講義)
見える化することの意義と、そのことによるサービスの質向上への影響を感じました。顧客を第一に置いて考えると言うサービス業の基本を再確認しました。医療や福祉分野としての専門性を高めつつ、サービスとしての視点も持って取り組むことで、結果として専門性がより高まると感じました。

職域・地域架橋型外部実習 活動報告

日時
2020年9月26日(土)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • Cコース合同 9月活動報告01
  • Cコース合同 9月活動報告02
  • Cコース合同 9月活動報告03
  • Cコース合同 9月活動報告04

概要

職域・地域架橋型外部実習が開催されました。
午前一つめのセッションでは、「“新しい日常”で研究・仕事を進めるには」というテーマで、研究の動向やコーピングスキルについて話題提供した後、グループに分かれてCOVID-19による変化や大変だったことへの対処法などについて意見交換を行いました。二つめのセッションでは、「ポストコロナ時代の多職種協働」というテーマのもと、架空事例を用いて見立てや支援の方法を医師・看護師・心理士・社会福祉士等の多職種でディスカッションし、それぞれの視点や役割について体験的に理解を深めました。
午後は、富士癒しの森と中継を繋ぎ、遠隔で森林散策カウンセリングや焚き火を体験し、森や自然の癒しの効果について意見を交わしました。最後に、「支援の現場から考えるTICPOC~専門性・分断・葛藤~」というテーマで、昨年度の受講生からTICPOCの視点からご自身の臨床やフィールドについて考えたことをご発表いただき閉会しました。

受講生の感想

研究活動もCOVID-19の影響があることを知りました。COVID-19は平等のあり方を教えてくれるように思いました。

事例を様々な職種・立場で検討することによって、着眼点の違いを改めて感じました。仕事の上では、着眼点の違いが「分かってくれない」という感覚に繋がるように思いますが、グループワークでは理由が添えられていたことで理解に繋がりました。

森の木々や焚き火の炎に、とても癒されました。非日常をこんなにオンラインで体感できるとは思いませんでした。

それぞれの現場で働かれている方が、日々なにを感じ、TICPOCの学びをどのように臨床に還元されているかについて、生の声が聞けてとても勉強になりました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
Cコース合同 9月活動報告

日時
2020年9月5日(土)
2020年9月6日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • Cコース合同 9月活動報告01
  • Cコース合同 9月活動報告02
  • Cコース合同 9月活動報告03
  • Cコース合同 9月活動報告04
  • Cコース合同 9月活動報告05

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター Cコース合同の9月講義が開催されました。
9月5日午前は、山口創生国立精神・神経医療研究センター室長と金原明子東京大学医学部附属病院特任助教から「研究成果の普及と実装の科学、精神保健研究の方法論」について、実例をご紹介いただきながら臨床実践に研究を取り入れる方法と意義についてお話いただきました。
午後は、能智正博東京大学大学院教育学研究科教授から「質的研究入門~データ分析のはじめの一歩」というタイトルで、質的研究の広がりの背景や方法論についてお話いただきました。質的研究の視点を参考にサンプルデータを読むワークを行い、体験的に学びを深めることができました。
9月6日午前は、近藤伸介東京大学医学部附属病院特任講師から「総合病院精神医学、多職種協働」について、東京大学医学部附属病院の実践をご紹介いただきながら、身体疾患と精神疾患をつなぐ場として機能する総合病院の役割や具体的な精神科の見立てについてお話いただきました。
午後は、熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授から「オンライン空間での不平等:アカデミアの構造的変革を目指すバリアフリー支援の現場より」、上岡陽江ダルク女性ハウス代表から「当事者活動での不平等:依存症自助グループになぜ当事者研究が必要だったか」、綾屋紗月東京大学先端科学技術研究センター特任研究員から「共同創造の場での不平等:アカデミアの文化的変革に向けた取り組み」についてお話いただきました。その後、“平等が脅かされたとき、平等を脅かしたとき”をテーマに、小グループに分かれて意見交換を行いました。

受講生の感想

(金原先生・山口先生の講義)
自分たちの日々の実践をきちんと評価していき、それを自分の研究のための研究ではなく、支援の改善やチームの風土の改善、つまりは組織変革に繋げる意義をあらためて意識しました。

(能智先生の講義)
語ること、その場に在ること、居ることの意味が質的な研究だとより現れるように思います。語り手への関心と尊重を丁寧に紡ぐ作法の深みを感じました。

(近藤先生の講義)
一つの動作や行動でさえも、いろいろな方向からじっくりと見る大切さを改めて実感したと共に、それを他職種でお互いを認め合えるような意見交換がきるような職場環境でありたいと思いました。

(熊谷先生の講義)
現在の生活様式で新たな「バリア」ができているということを知ることができました。そう考えると、「障害」が改めて「社会との障壁」であることがわかります。社会が変わることで壁が新たにでき始めることを今まさに体感しているのだとハッとしました。

(上岡先生の講義)
言葉にできない感情を言葉にされた方の言葉の重み、エピソードを集めてロジックにする支援は日常を共に過ごした支援者にしかできないと思いました。

(綾屋先生の講義)
言葉が与えられることで、物事に初めて気づける、捉えることができると思いますが、マジョリティは歴史的にたくさんの先輩が編み出した言葉の山がある一方で、マイノリティの体験を語る言葉がないことで、自分に起きていることに気付くこと自体が難しいのだと感じました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋型コース 7月活動報告

日時
2020年7月11日(土)
2020年7月12日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-1 職域架橋型コース 7月活動報告01
  • C-1 職域架橋型コース 7月活動報告02
  • C-1 職域架橋型コース 7月活動報告03
  • C-1 職域架橋型コース 7月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター 職域架橋型コース の7月講義が開催されました。
7月11日午前は、笠井さつき帝京大学心理臨床センター教授から「精神分析的心理療法の基礎」について、精神分析と精神分析的心理療法の違いを事例をご紹介いただきながらわかりやすくご講義いただきました。また、精神分析が日本の文化にもちこまれた流れやトラウマと精神分析、女性であることと精神分析など幅広くお話いただきました。
午後は、藤山直樹上智大学名誉教授から「精神分析を生きる」というタイトルで、精神分析家としての生き方や精神分析という特殊な営みについてご講演いただきました。具体的な実践のお話から精神分析の本質に触れ、精神分析の概念をもつことが一般的な臨床においても示唆を与えるということを学ばせていただきました。

7月12日午前は、若佐美奈子神戸女学院大学人間科学部心理・行動科学科准教授から「力動的視点を非精神分析的ケア場面に適用する」というタイトルでご講義いただきました。事例を用いたグループワークを通して、クライエントの言動の背後にある無意識について想像しアセスメントすることによるケース理解の深まりを体験的に学ぶことができました。
午後は、松木邦裕京都大学名誉教授から「チーム支援を有効にする精神力動的視点」についてお話いただき、精神力動を考慮した精神医学やチーム支援について学びました。また、こころと出会うための観察や聴き方についてもお話いただきました。治療者・支援者としての心の在り方や機能的な集団としての在り方について学ぶ貴重な機会となりました。

受講生の感想

(笠井さつき先生の講義)
「言葉にしづらいことを言葉にすること」が精神分析の真髄なのだと思いました。わかっているようでわかっていないような不確実なものに意味を見出していくことに魅力を感じ、一気に関心が高まりました。

(藤山先生の講義)
心理臨床における関係性について、考えることができました。関係性が対等になることで、臨床家側にも覚悟や責任がいるし、受ける者にも臨床をうける、関係を築く上での責任を担うように思いました。

(若佐先生の講義)
“本当に大切なことほど言葉にしにくい” “言語の背後にあることを考える”ということを具体例を通して聴くことで、自分のなかに落とし込むことができたような気がしました。

(松木先生の講義)
人間はチームで生きているというお話から、我々はチームで働くという以前に、人との関係性の中で生きており、まずはそこを見つめて内省しながらチームでの実践をしたいと思いました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 6月活動報告

日時
2020年6月 6日(土)
2020年6月 7日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 地域連携型コース 6月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 6月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 6月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 6月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの6月講義が開催されました。
6月6日午前は、「こわくないトラウマインフォームドケア」をテーマに、第1回内部演習を行いました。熊倉陽介東京大学大学院医学系研究科精神保健学/国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部科研費研究員からトラウマインフォームドケアについてお話いただいた後、グループに分かれてそれぞれの臨床経験や職場で感じていることや問題意識について共有しました。
午後は、夏堀龍暢祐ホームクリニック吾妻橋院長から「地域精神医療のプリンシプル」について、プライマリ・ケアと精神科医療を統合した訪問診療のご経験から、実践的な方法論や専門職間連携についてお話いただきました。グループワークでは、臨床倫理の四分割表を用いたカンファレンスを体験しました。
6月7日午前は、竹島正全国精神保健福祉連絡協議会/川崎市精神保健福祉センター所長から「地域共生社会におけるメンタルヘルスの戦略」についてお話いただきました。調査研究や事業を踏まえた知見をご紹介いただき、援助希求の多様性に対応した保健福祉領域からのアプローチについて学ぶことができました。
午後は、大塚耕太郎岩手医科大学神経精神科学講座教授から「東日本大震災におけるメンタルヘルス」についてお話いただき、地域に根ざした支援モデルと具体的な実践をご紹介いただきました。日頃からの地域福祉と医療の連携の在り方や支援者としての態度について改めて考える機会となりました。

受講生の感想

(TICPOC演習)
トラウマインフォームドケアは、トラウマを直接扱うというよりも、その人の背景にあるトラウマの存在に思いをはせながら丁寧に関わるための,基本的な姿勢を示してくれるもののように理解しました。方法も型にはまったものではなく、その時々の状況や関係性などに応じて工夫できるような柔らかさがあり、どのような場所でも日常に溶け込みやすいと思いました

(夏堀先生の講義)
多職種連携を円滑に行える環境や仕組みが大切だと感じました。臨床倫理の四分割表のようなフレームを使って整理することで、議論や共有がしやすくなると思いました。また、多職種連携教育(Interprofessional Education: IPE)のお話が印象に残りました。対立や葛藤を避けることなく、それぞれの考え方を確認しながら合意を形成していく、対話する態度や環境がクライエントの支援に大きく影響すると感じました。

(竹島先生の講義)
公衆衛生の伝統的な考え方を踏襲しつつも、そこに新たなものを模索されている先生の姿勢に感銘を受けました。専門家が、専門家としての役割だけでなく、人としてどのように病気や医療や施策とそこにいる人に関わっていくか?という問いの中にしか生まれない発想を、竹島先生から学ばせて頂いたように思います。

(大塚先生の講義)
震災という視点を通し、”人と関わる”ことの本質にも触れるような講義でした。そこにあることが自然と感じられるくらいに、地域や生活に溶け込んだものでありながら、丁寧さや誠実さを忘れず、穏やかなやり取りの中で、癒えぬ傷にそっと寄り添う、そんな温かみを感じました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告

日時
2020年5月23日(土)
2020年5月24日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告01
  • C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告02
  • C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告03
  • C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告04
  • C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告05
  • C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告06

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋連携コースの5月講義が開催されました。
5月23日午前は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「TICPOCをはじめよう」として本プロジェクトの目的と核となる概念について詳細な説明がありました。また、濱田純子東京大学医学部附属病院こころの発達診療部臨床心理士・公認心理師から、本コースは、自分の臨床の振り返り、自分自身を掘り下げることにたくさんの学びの場になると、補足紹介がされました。津川律子日本大学文理学部心理学科教授から「心理臨床実践と研究の倫理」について、自分の臨床の質を高めるための倫理であること、予防の観点の重要性をお話頂き、事例検討で深めました。
午後は、村井俊哉京都大学大学院医学系研究科教授から「多職種協働における多元主義」について、お話いただきました。多元主義の「真理」と「価値」の両輪が、医療を支えるとの思想もご紹介いただけました。
その後、参加者同士の自己紹介、それぞれの立場で抱いている課題意識について話し合いを行いました。
5月24日午前は、市橋香代東京大学医学部附属病院特任講師から「身体疾患患者の心理支援」について、コンサルテーション・リエゾン精神医学の概説からどの領域でも活かせる実践のエッセンスまで幅広くお話いただきました。
午後は、里村嘉弘東京大学大学院医学系研究科講師から「うつ病」、森田健太郎東京大学医学系研究科助教から「統合失調症」について、疫学的知見やトラウマインフォームドケアの観点からお話をいただきました。その後、神出誠一郎東京大学院医学系研究科准教授から「精神科薬理学」について分かりやすくご説明いただき、薬の作用機序や副作用、使用の注意点について理解を深めることができました。

受講生の感想

(笠井先生・濱田先生挨拶)昨年度も受講させていただいて、様々な職種の人と、様々な講師の方との議論を聞かせていただいて、自分自身とても刺激を受けました。TICPOCでは、臨床についての考え方について問われることが多く、根本のところを考えることが自身のトレーニングになっているように感じております。今年度も自分の立ち位置を相対化して考える場として学ばせていただきたく思います。

(津川先生の講義)“倫理”と書くと、日常ではどうしても敬遠しがちで「弁えているつもり」になってしまいがちですが、とてもわかりやすい講義内容であらためて振り返る機会になりました。 日ごろから丁寧に、同僚や身近な人に相談・確認をしつつ、行動・実践できるように意識したいと思います。

(村井先生の講義)昨年に続き、興味深いご講義を有難うございました。ミーティングの時や話を聞く時、振り返りの時に、自己の意識を「教条主義」なのか「折衷主義」なのか「多元主義」となっているのかをトレーニングしていきたいと思いました。そうすることで、その時にその場所に必要なことが見えてくるのではないかと思いました。

(市橋先生の講義)様々な背景を持つ患者さんに対して、いろいろな球が来た時にその都度考えて工夫していくことが大切なのだと感じました。また、MRIブリーフセラピーの項で学んだ、問題はそれを解決しようとする努力によって持続しており、その循環を断つことで次の行動が生まれるという考え方は、今、現場で日々体感しているところだったため、自身の体験と紐づけながら考えることができました。

(里村先生の講義)現場で関わる時に、トラウマインフォームドな姿勢で接することの大切さを知ることができました。知らずに相手のトラウマに触れる可能性があることを念頭に置きつつ、ラポールの構築を大切にしていくことが重要なのだと思いました。現場の支援に関わる時に、改めて意識していきたいと思いました。相手のペースに合わせつつ、職場も安全基地の一つになるような環境を作っていきたいと思いました。

(森田先生の講義)ニーズのある方という視点で、複数の視点で、柔軟な考え方を持って、価値に基づく支援を行なっていきたいと思いました。支援者として価値を決め付けないように意識していきたいと思います。

(神出先生の講義)コロナ禍での相談で、これまで以上に服薬前提の受診を周囲が勧めるケースが多く、「何のための服薬であるか?」という質問は、支援方針を大きく支えるところだと思いますので非常にタイムリーなお話を聴くことができました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 4月活動報告

日時
2020年4月18日(土)
2020年4月19日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-2 地域連携型コース 4月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 4月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 4月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 4月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの4月講義が開催されました。
4月18日午前は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「TICPOCをはじめよう with コロナ」として本プロジェクトの目的と核となる概念について詳細な説明がありました。また、熊倉陽介東京大学大学院医学系研究科精神保健学/国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部科研費研究員から、概念を補足し、より深める話題提供として「医療者の内なるスティグマと医療トラウマーどうして住まいの支援からはじめる必要があるのかー with コロナ」と題した講演を行いました。
午後は、熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授から「当事者研究と専門知-精神保健サービスの共同創造の方法論を目指して-」についてお話いただき、自らのご経験によって受けた医療・支援による傷や、「概念」を知って生き延びることができた経験についてご紹介いただきました。その後、参加者同士の自己紹介、それぞれの立場で抱いている課題意識について話し合いを行いました。
4月19日午前は、三ツ井幸子22HEART CLUB副代表から「22q11.2欠失症候群 ―重複する障害を抱えた子どもとその家族の生活―」について、当事者家族のお立場からお話いただきました。ご家族が体験する複合的な困難や、医療・福祉・教育の仕組みをどのように変えていく必要があり、支援者にはどのような役割が求められるのかについて理解を深めました。
午後は、國分功一郎東京大学総合文化研究科・教養学部准教授から「中動態の世界――意志と責任の考古学」についてお話いただきました。中動態概念についてわかりやすく説明していただき、“近代的意志"の存在を前提とした支援が、支援する人・される人にもたらす弊害について説明していただき、支援の在り方について、考え直す貴重な経験となりました。その後、昨年度から参加の受講生2名に、それぞれの臨床における疑問から立ち上がった研究計画案を今年度受講生にご紹介いただき、今後の個別プロジェクトの持ち方について話し合いました。

受講生の感想

(笠井先生の講義)用語の理解が即時にはできないことがありましたが、自身の体験的な理解と結び付けやすい、あるいは、具体例があってイメージしやすいようなお話が多く、自分にとってはとても受け入れやすかったです。「気になる行動や価値の背景にはその人の人生がある」という考え方は、人と関わる上で大切な視点であり、自分自身の業務に通ずる感覚だと感じました。

(熊谷先生の講義)熊谷先生の経験談を基にした話だったので、イメージを掴みやすかったです。"依存先を増やし、分散させていくことが必要"ということは、障がい福祉の分野だとフォーマル・インフォーマル共に考えることが大切ということに繋がって考えましたが、どうしてもフォーマルを優位に捉える傾向があると感じています。依存先についても受講生のみなさんと議論していきたいです。

(三ツ井先生の講義)教育に望むことをお話されていて、とても心に残りました。生徒たちに卒業してもらうために、常に欠席日数は何日かと保健室登校の生徒を心配していました。話し合いをすれば解決することが多いのかもしれないと思いました。保護者の思いが伝わってきて、困ったことや悩んでいることを保護者と一緒に、担任や管理職と話ができることはたくさんあると実感できました。ありがとうございました。

(國分先生の講義)時折「ニーズがないので支援を終了します」ということが職場で聞かれます。それは相手の立場や背景を想像していない態度であり、違和感を持っていました。また、一見理不尽と思えるような選択をする方をどう捉えるか葛藤することもあります。そこに、意志というものをどう捉えるかという課題があることを職場でも共有したいと思いました。

【C】2019年度

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋連携コース 3月活動報告

日時
2020年3月14日(土)
2020年3月15日(日)
方法
オンライン会議システムによる開催
  • C-1 職域架橋連携コース 3月活動報告01
  • C-1 職域架橋連携コース 3月活動報告02
  • C-1 職域架橋連携コース 3月活動報告03
  • C-1 職域架橋連携コース 3月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋連携コースの3月講義が開催されました。
3月14日は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「心理職のための脳科学」として、医師以外の支援者も脳科学の基本的な知識をもっておくことの重要性、脳とこころの関係、脳の基本特性、脳科学の倫理についてお伝えしました。また、毛利伊吹上智大学総合人間科学部心理学科准教授の「認知行動療法」第3回講義が行われました。認知行動療法が誰に対して、何に対して向いているかについて、エビデンスや認知行動療法の特徴から詳しくご説明いただき、実臨床に取り入れたい多くの気づきをいただきました。

3月15日は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授、金原明子精神保健福祉士から「論文執筆 ~研究のまとめかた~」と題し、論文執筆の基本や、論文執筆におけるコプロダクションについてお伝えしました。また、伊藤絵美洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長から「ストレスケアのためのコーピングと認知行動療法」についてお話いただきました。架空事例を通した認知行動療法や、コーピング・レパートリーの増やし方まで具体的に学ぶことができました。

受講生の感想

毛利先生のご講義にあった行動活性化の考え方(楽しさを感じられる活動と達成感を感じられる活動に分けて活動を評価する方法)は実臨床の中でも用いることができました。

伊藤先生のご講義にあった「相談者とともにあるという配慮」と「言葉の選択」が印象深く、トーンの調整に引き入れられました。ユーモアあふれる中に焦点からずれない専門性とご経験の蓄積を感じました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 2月活動報告

日時
2020年2月15日(土)
2020年2月16日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟A 1階レセプションルーム
  • C-2 地域連携型コース 2月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 2月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 2月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 2月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの2月講義が開催されました。
2月15日午前の部は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授、金原明子精神保健福祉士より「研究の方法論~現場の課題解決を目指した質的研究の立案~」についてお話いただきました。受講生2名に、それぞれの臨床における疑問から立ち上がった研究計画案をご発表いただき、全体で共有・ディスカッションすることで、臨床と研究の結びつきについて考える機会となりました。
午後の部は、NPO法人LightRing.のスタッフの方々から「学校メンタルヘルスと若者の自殺対策」について、ビデオを用いながらご講演いただきました。良い相談のために必要なことは何かについて相談者の立場に身を置いて考え、グループで意見を交換する中で、様々な考え方や価値に触れることができました。

2月16日午前の部は、C-2コースの1年間で得られた学びに関連した内容についてペアでインタビューし、得られたデータをもとに知見を整理するグループワーク演習を行いました。各グループの個性が光るポスターが完成し、1年間の学びの濃さと受講生同士の関係性の深まりを垣間見ることができました。
午後の部は、松本俊彦国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部部長から「薬物依存症をもつ人を地域で支える」というテーマでご講演いただきました。薬物規制の歴史から薬物対策及び治療の実際について幅広くお話いただき、依存症という病気の本質や地域社会で治療・支援体制を築くことの必要性について学ぶ貴重な機会となりました。

受講生の感想

TICPOCは、人に出会い語る場所であり“哲学カフェ”のようだと思った。受講を通して、必ずしも理解しなくてもいい、分からないままでもいいと思えるようになり働くのが気楽になった。学ぶとは知識を得ることではなく、内的変化を起こすことなんだと思った。

個人の体験を大切にしながら学ぶ事ができた。1年間の学びを通して、トラウマインフォームドケア(TIC)の観点から見た組織変革(OC)について、また、誰のための共同創造(CP)なのかといった今後への問いをもつことができた。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋連携コース 1月活動報告

日時
2020年1月18日(土)
2020年1月19日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟B 1階会議室
  • C-1 職域架橋連携コース 1月活動報告01
  • C-1 職域架橋連携コース 1月活動報告02
  • C-1 職域架橋連携コース 1月活動報告03
  • C-1 職域架橋連携コース 1月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋連携コースの1月講義が開催されました。
1月18日午前の部は、市橋香代東京大学医学部附属病院特任講師から「医療における多職種協働と他機関連携」について、概観から具体的な実践まで幅広くお話いただきました。受講生それぞれがこれまでの経験を振り返り、協働や連携のために個々の職場や職種においてどのようなことができるのか具体的に考える機会となりました。
午後の部は、毛利伊吹上智大学総合人間科学部心理学科准教授の「認知行動療法」第2回講義が行われました。認知行動療法の様々な技法について詳しくご説明いただき、用語や技法の進め方・目的について知識を整理し、理解を深めることができました。また、宿題や講義中のワークを通して、クライアント側の視点も体験的に学ぶことができました。

1月19日午前の部は、中原睦美鹿児島大学大学院臨床心理学研究科教授から「学校領域でのコラージュ療法~教育領域でのコラージュ・ボックス法の実際~」についてお話いただきました。前回に引き続きペアでコラージュ制作の体験を行いました。また、先生の実践をご紹介いただき、学校における心理支援の心得や可能性について改めて学ぶ機会となりました。解釈の手助けとなる理論や実施の配慮事項についても解説いただき、全3回の講義を通してコラージュ療法について理解を深めることができました。
午後の部は、中村心理療法研究室の中村紀子先生から「見えない心を可視化する~心理アセスメントによるケース理解~」というテーマでお話いただきました。実際のセッションビデオをみせていただき、治療的アセスメントの概要と方法について学ぶことができました。また、クライアントとセラピストの協働的な関係がもたらす変化について学び、今後の臨床に応用したい多くの気づきをいただきました。

受講生の感想

(市橋先生の講義)分かりやすく具体的にお話していただき、色々と自分の働いてきた機関を思い出しながら協働の経験が整理されました。連携にも、コンサルテーションとリエゾンとがある等、概念を整理することができました。

(毛利先生の講義)技法を一つ一つ丁寧に教えていただき、大変ありがたかったです。これまで大雑把にしか理解していなかった言葉が明確に分かりました。

(中原先生の講義)コラージュ制作過程から浮かび上がるクライアントの内面やセラピストとの相互作用について、実際に体験しながら学びました。コラージュ療法の可能性を感じました。

(中村先生の講義)治療的アセスメントのダイナミックな力強さと優しさに感銘を受けました。クライアントを尊重し、クライアントと協働して創り上げていくプロセスに圧倒されました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 12月活動報告

日時
2019年12月21日(土)
2019年12月22日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟A 1階レセプションルーム
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 12月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの12月講義が開催されました。
12月21日は、「ピアサポートとCo-production」をテーマに内部演習を行いました。午前の部は、東京大学大学院医学系研究科宮本有紀准教授と佐々木理恵ピアサポートワーカーからリカバリー及びピアサポートの概念やリカバリーカレッジについてお話いただきました。午後の部では、ピアサポートワーカー育成に取り組んでいるDコースや東京大学医学部附属病院精神神経科におけるピアサポートワーカーの導入についてスタッフから話題提供があり、自由な雰囲気でディスカッションを行いました。これから先の精神保健医療や多領域との連携を含めた支援のかたちについて考える機会となりました。

12月22日午前の部は、神戸女学院大学人間科学部若佐美奈子准教授から「手の届き難い方への精神分析的アプローチ~援助提供モデルと自己理解促進モデルの長所と短所~」についてお話いただきました。困難事例においても精神分析的視点の導入によって、援助者が被援助者の気持ちを丁寧に聴き、受け止めるプロセスにおいて、被援助者の自己理解の促進や関係性の構築に繋がることを学ぶことができました。
午後の部は、国立精神・神経医療研究センターの山口創生室長から「精神保健研究の方法論」についてお話いただきました。前半は歴史的な文脈を踏まえながら研究及びエビデンスの必要性についてご講義いただき、後半は実践現場におけるエビデンスの作り方について、グループワークを通してより具体的に理解することができました。

受講生の感想

(内部演習)患者さんがどのような言葉かけに傷つくだろうか、励まされるだろうかと考え続けることの大切さを改めて感じました。また、ピアサポートワーカーを守っていくシステムや研修があることが重要だと感じました。

(若佐先生の講義)なぜ共感が難しいのかという所をわかりやすくお話しいただき、改めて他人の靴を履いてみる姿勢が出来ているか考えさせられました。その共感の難しさこそが目の前の人を理解する糸口になることを学べました。

(山口先生の講義)グループワークでは、現場で働く人の温度差や現場の多忙さも実際に想像しながらどのように研究を組み立てていくかについて考えることができ勉強になりました。研究は一人でやるイメージが強かったですが、グループでやることで色んな視点が共有できて、それだけでも意義があるように感じました。

第2回公開シンポジウム 活動報告

日時
2019年12月1日(日) 11:00~17:30
場所
東京大学本郷キャンパス工学部2号館2階221講義室
  • 第2回公開シンポジウム 活動報告01
  • 第2回公開シンポジウム 活動報告02
  • 第2回公開シンポジウム 活動報告03
  • 第2回公開シンポジウム 活動報告04

TICPOC人材育成

  1. 11:00-12:00
    東大病院精神科の新たな実践の1つ
    ~病の経験を有するピアスタッフとのCo-production~
  2. 13:00-13:30
    TICPOC概要説明、今年度コースの様子、来年度コース募集の説明
    笠井清登(東京大学大学院医学系研究科 教授)
  3. 13:30-14:00
    障害福祉施策におけるピアサポートのD&Iに向けて
    吉野智(厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害福祉専門官)
  4. 14:00-14:30
    臨床心理学の立場から~対人支援職の研修に望むこと~
    津川律子(日本大学文理学部心理学科 教授)

特別企画 スティグマ・トラウマ・葛藤・ケア・回復

  1. 14:45-15:15
    当事者研究と共同創造 発見・リカバリー・反スティグマ
    熊谷晋一郎(東京大学先端科学技術研究センター 准教授)
  2. 15:15-16:00
    悲しみを生きる力に
    入江杏(ミシュカの森主宰、上智大学グリーフケア研究所非常勤講師、世田谷区グリーフサポート検討委員)
  3. 16:00-16:45
    ヤングケアラーと“自信”
    澁谷智子(成蹊大学文学部現代社会学科 准教授)
  4. 17:00-17:30
    対談:熊谷晋一郎、入江杏、澁谷智子〈司会:笠井清登、熊倉陽介〉

概要

文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラム 東京大学 職域・地域架橋型価値に基づく支援者育成 第2回公開シンポジウムが開催されました。
はじめに、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授より「東大病院精神科の新たな実践の1つ~病の経験を有するピアスタッフとのCo-production~」と題してDコースについて詳細な説明がありました。続いて、「価値にもとづく支援」と本プロジェクトについてお話しいただき、今年度のCコース受講生からも受講の感想を発表していただきました。
講演では、吉野智厚生労働省 社会・援護局 障害保健福祉部 障害福祉課 障害福祉専門官から「障害福祉施策におけるピアサポートのD&Iに向けて」について、津川律子日本大学文理学部心理学科教授から「臨床心理学の立場から~対人支援職の研修に望むこと~」をお話しいただき、対人支援のこれからについて従来の構造や職域を越えて考える機会となりました。
特別企画では、熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授から「当事者研究と共同創造 発見・リカバリー・反スティグマ」、ミシュカの森主宰の入江杏さんから「悲しみを生きる力に」、澁谷智子成蹊大学文学部現代社会学科准教授からは「ヤングケアラーと“自信”」について、先生方のご経験や実践を踏まえた貴重なお話をいただきました。対談では、先生方のご経験に基づいたそれぞれのお立場から、ケアに対する価値観、家族との関係や抱えている問題、そこに伴う感情等について様々に考えさせられる時間となりました。
たいへん多くの皆様にご来場いただき、特別企画のテーマ「スティグマ・トラウマ・葛藤・ケア・回復」や本プロジェクトの各コースに対する興味関心や期待を窺い知ることができました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋連携コース 11月活動報告

日時
2019年11月9日(土)
2019年11月10日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟B 10階会議室
  • C-1 職域架橋連携コース 11月活動報告01
  • C-1 職域架橋連携コース 11月活動報告02
  • C-1 職域架橋連携コース 11月活動報告03
  • C-1 職域架橋連携コース 11月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋連携コースの11月講義が開催されました。
11月9日午前の部は、神出誠一郎東京大学医学系研究科准教授から「精神科薬物療法~精神科治療の一分野として~」と題し、精神科治療の歴史や薬物療法などについて幅広くお話いただき、医師以外の支援者も薬物療法の基本的な知識をもっておくことの重要性を再認識することができました。午後の部は、今年度全3回予定している毛利伊吹上智大学総合人間科学部心理学科准教授の「認知行動療法」初回講義が行われました。認知行動療法の基本的な理論モデルについて確認ができたとともに、事例の定式化について架空事例を用いたワークを通して体験的に理解することができました。
11月10日午前の部は、中原睦美鹿児島大学大学院臨床心理学研究科教授から「医療領域でのコラージュ療法~外科領域でのコラージュ・ボックス法の実際~」についてお話いただき、医療領域での心理支援において求められるスキルや支援者としての在り方について学ぶことができました。また、受講生同士ペアになってコラージュを作成し、セラピスト役と制作者役を体験することでそれぞれの立場から新たな気づきを得ることができました。
午後の部は、松木邦裕京都大学名誉教授から「力動的視点によるチーム支援の有効化」についてお話いただき、組織・チームの中で力動的な集団理解を使うことで心理職がどのような役割を担うことができるのか学ぶことができました。また、先生の臨床経験に基づいた臨場感のあるお話から、こころに出会う聴き方、こころを使うことについて理解を深めることができました。

受講生の感想

(神出先生の講義)分かりやすくて興味深くてあっという間に終わってしまった感じでした。医師のお薬の使い方を理解することは日々の臨床の中でとても有用だなと思いました。

(毛利先生の講義)丁寧に受講生と意見交換しながら進めて下さり、ありがとうございました。自分でやることと他者へやることは、またステージが違うというお言葉が印象的でした。

(中原先生の講義)実際にセラピスト役を体験することができ、緊張感やワクワク感を感じることができました。また後半のお話では、先生の臨床家としての姿勢に心を打たれ、大事にしていきたいエッセンスを学ぶ事ができました。

(松木先生の講義)こころに出会う聴き方のステップを学べました。また医療チーム支援における役割のお話を通して、学校や保健所など、医療以外の現場でも生かしていける配慮点も教えていただき、とても励みになりました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 10月活動報告

日時
2019年10月19日(土)
2019年10月20日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟A 1階レセプションルーム
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告 活動報告01
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告 活動報告02
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告 活動報告03
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告 活動報告04
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告 活動報告05
  • C-2 地域連携型コース 10月活動報告 活動報告06

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの10月講義が開催されました。
10月19日午前の部は、「“こわくないトラウマインフォームドケア”の普及と実装」をテーマに、第2回内部演習を行いました。受講生がそれぞれの職場・職域の中で実践できることを目的に、トラウマインフォームドケアの研修会に用いることができる資料や架空ケースを作成し、発表と共有を行いました。
午後の部は、島薗進上智大学大学院実践宗教学研究科教授/グリーフケア研究所所長から「死生観の展開とグリーフケア」についてお話いただきました。理論的及び文化的側面から、多様な死と喪失についての知を学ぶことができました。また、日本におけるグリーフケアの展開についてもお話いただき、宗教による癒しや分かち合うことについて考える機会となりました。

10月20日午前の部は、被害者支援都民センターの鶴田信子犯罪被害相談員/心理相談担当責任者から「事故・事件の被害者支援」についてお話いただきました。被害者支援都民センターについて、ビデオやパンフレットで分かりやすくご紹介いただき、センターの取り組みを具体的に理解することができました。また、架空事例を用いて事件直後の対応や心理教育の演習を行い、被害者支援における専門職としての役割や姿勢について学ぶことができました。
午後の部は、大塚耕太郎岩手医科大学神経精神科学講座教授から「東日本大震災後のメンタルヘルス対策」についてお話いただきました。東日本大震災後の地域における支援の実践と研究をご紹介いただき、長期的な視点でこころのケアやコミュニティを支える活動を継続していくことの重要性を改めて理解することができました。

受講生の感想

(島薗先生の講義)災害死も増え、孤独死、無縁死などという問題も出てきている今、宗教や哲学等の知見を学ぶ一方で、一人で結論を出すのではなく、「分かち合う」ことで探っていく道もあるのだと感じました。いろいろな示唆をいただけた講義でした。

(島薗先生の講義)グリーフケアのお話の中では、“死と真剣に向き合おうとしてきたことがあるか”を問われた時間になりました。これまで、生についての多様性を感じる一方で、死に多様性を感じようとしたことがなかったと思いました。

(鶴田先生の講義)ロールプレイが難しかったです。まず一言目になんと声をかけて良いのか分からないという感覚は、精神保健福祉士の実習の時以来で、自分でも驚いたし心理面接って難しいなあと改めて思いました。

(大塚先生の講義)自分自身が専門職として“心のケアを”と意気込まずに、一人一人に何が起こっているのかを聴いていきながら、一緒に考え続けていくという人としてのあり方を教えていただきました。

職域・地域架橋型外部実習 活動報告

日時
2019年10月5日(土)
2019年10月6日(日)
場所
東京大学山中寮内藤セミナーハウス
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告01
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告02
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告03
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告04
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告05
  • 職域・地域架橋型外部実習 活動報告06

概要

職域・地域架橋型外部実習が開催されました。
1日目、最初のセッションでは、精神疾患と自然環境のかかわりを切り口として、これからの精神科臨床の環境について考えました。2つめのセッションでは、「自分に影響を与えた作品」をキーワードに、多職種連携において大切な相互に学び合うことを体験しました。
2日目は、精神医学を取り囲む司法、心理、社会の境界についての口演のあと、精神医学と周辺領域の境界線、未来について考えるグループワークを行いました。
より有効な多職種連携の演習とすべく、医学部附属病院のスタッフにも参加を呼びかけ、多くの参加を得たことで、グループワーク等が一層実践に即したものとなりました。
また、特別企画として、富士癒しの森研究所プロデュースの森の体験を楽しみました。湖畔散歩や薪割り、ハンモックなど自然豊かな山中寮で日々の喧騒から離れてリフレッシュすることができました。

TICPOC学内実習 活動報告

日時
2019年10月4日(金)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟B 10階カンファレンスルーム・病棟等
  • TICPOC学内実習 活動報告01
  • TICPOC学内実習 活動報告02

概要

TICPOC学内実習が開催されました。
午前は、東京都精神保健局都立精神保健福祉センターの平賀正司所長と源田圭子地域援助医長から「東京都立精神保健福祉センターについて」お話いただきました。精神保健医療福祉を取り巻く現状やセンターの多岐にわたる業務内容について具体的に知ることができました。
その後、シニアピアサポートワーカーの今川亮介さんから「ピアサポーターが参加する行動制限最小化」についてお話いただきました。当事者の隔離・身体拘束の経験談やピアサポーターとしての実践・研究についてご紹介いただき、患者さんの権利擁護やピアサポーターの役割について改めて考えることができました。
午後は、病棟回診やカンファレンスの見学を行いました。大学病院における臨床を実際に見て学ぶ貴重な機会となりました。

受講生の感想

(平賀先生・源田先生の講義)漠然としていたセンターの存在の知識が、具体性をもって考えられるきっかけとなりました。東京都とはまたちがう形だと思うので、自分の活動する地域でのセンターについてきちんと調べてみようと思います。

(今川さんの講義)ピアサポートの重要性を知ることができました。考えてみると、当事者が参加して当然なのに参加していない、参加できないシステムは多いと思います。当事者が参加することで、システムの目的や理念といった基底の部分が担保されると思いました。

(病棟回診・カンファレンス)実際に病棟を回り、医師の回診を見させていただき、とても良い体験をさせていただきました。また、カンファレンスでは、報告するポイントや話し合うべき内容も絞られており、とても勉強になりました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋連携コース 9月活動報告

日時
2019年9月21日(土)
2019年9月22日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟B 1階会議室
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 9月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 9月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 9月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 9月活動報告04
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 9月活動報告05
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 9月活動報告06

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋連携型コースの9月講義が開催されました。
9月21日午前の部は、里村嘉弘東京大学大学院医学系研究科特任講師、森田健太郎東京大学医学系研究科助教から「【精神医学】精神疾患Ⅱ」というテーマで、うつ病と統合失調症について疾患の基礎から近年の研究による知見まで幅広くお話いただきました。また、当事者の方から「私のリカバリーストーリー」と題し、発症経緯から治療・リハビリ、支援者との関わりについて体験を語っていただきました。専門知と当事者知、両側面から精神疾患について見つめ直す機会となりました。
午後の部は、黒田美保名古屋学芸大学ヒューマンケア学部子どもケア学科教授から「自閉スペクトラム症の早期支援~JASPERプログラムの紹介~」についてお話いただきました。幼児期の社会性、遊びの発達、物・人への関わりの発達、感情調整について詳細にご説明いただき、コミュニティでの実施においても有用なJASPERプログラムについて具体的に知ることができました。

9月22日午前の部は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授、金原明子精神保健福祉士から「研究法~精神保健/医学研究の始め方~」についてお話いただきました。グループワークでは、文献検索や研究立案に取り組みました。研究領域におけるTICPOCの在り方について学ぶことができました。
午後の部は、村井俊哉京都大学大学院医学系研究科教授から「多職種協働における折衷主義から多元主義へ」をテーマにお話いただき、具体的なフィールドを想定して多元主義の実践例を考えるグループワークを行いました。
その後、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授、熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授、柳下祥東京大学大学院医学系研究科講師、榊原英輔東京大学医学系研究科助教、笠井さつき先生(C-1コース受講生)をパネリストに迎え、パネルディスカッションを行いました。多元主義に基づく専門性や民主性、価値について議論が展開され、非常に刺激的な学びの時間となりました。

受講生の感想

(里村先生・森田先生・当事者の方の講義)うつ病、統合失調症の基本的な症状に加えて、自分の働く現場ではふれることの少ないデータを知ることができて、大変勉強になりました。今回、当事者の方から発症前~発症、リハビリ期間をご本人がどのような思いで経てきたのかを具体的に聞けたことは貴重な体験でした。

(黒田先生の講義)JASPERのコンセプトやその目指すところを知ることができて大変勉強になりました。行動の評価は難しく感じましたが、JASPERの視点で見ることもこれからの臨床で意識していければと思いました。

(笠井先生・金原先生の講義)院を卒業してから研究から遠ざかっておりましたが、今TICPOCの視点をもち、日々の臨床に生かせるよう先ずは論文をよむところから始めたいと思います。

(村井先生の講義)互いを承認し合い、その中でも最も良い考えを導き出す上で必要な理解だと思いました。多側面から多角的に考えるために必要な考え方だと思いました。

2018年度採択 課題解決型高度医療人材養成プログラム
精神領域 意見交換会活動報告

日時
2019年8月24日(土)
場所
TKPガーデンシティ竹橋 カンファレンスルーム2B
  • 2018年度採択 課題解決型高度医療人材養成プログラム 精神領域 意見交換会活動報告01
  • 2018年度採択 課題解決型高度医療人材養成プログラム 精神領域 意見交換会活動報告02
  • 2018年度採択 課題解決型高度医療人材養成プログラム 精神領域 意見交換会活動報告03
  • 2018年度採択 課題解決型高度医療人材養成プログラム 精神領域 意見交換会活動報告04
  • 2018年度採択 課題解決型高度医療人材養成プログラム 精神領域 意見交換会活動報告05
  • 2018年度採択 課題解決型高度医療人材養成プログラム 精神領域 意見交換会活動報告06

第一部 課題解決型プログラム紹介、意見交換(座長 笠井清登 東京大学大学院医学系研究科教授)

13:30-13:50
東京大学「職域・地域架橋型-価値に基づく支援者育成」
笠井清登 東京大学大学院医学系研究科教授
13:50-14:10
筑波大学「精神科多職種連携治療・ケアを担う人材育成」
新井哲明 筑波大学医学医療系教授
14:10-14:30
千葉大学「メンタル・サポート医療人とプロの連携養成」
清水栄司 千葉大学大学院医学研究院教授
14:30-14:50
京都大学「発達症への介入による国民的健康課題の解決」
十一元三 京都大学大学院医学系研究科教授
稲富宏之 京都大学大学院医学系研究科教授
義村さや香 京都大学大学院医学系研究科特定助教
14:50-15:20
意見交換
指定発言
三村將 慶應義塾大学医学部教授
岡本泰昌 広島大学大学院医系科学研究科教授
金生由紀子 東京大学大学院医学系研究科准教授

第二部 多職種協働スタッフ教育のあり方(座長 福田正人 群馬大学大学院医学系研究科教授)

15:30-16:10
「デイケアにおけるクリニカルパスの導入、多職種協働」
久住一郎 北海道大学医学部教授
16:10-16:20
意見交換

第三部 特別講演(座長 明智龍男 名古屋市立大学大学院医学研究科教授)

16:30-17:30
「トラウマインフォームドケア」
亀岡智美 兵庫県こころのケアセンター副センター長

概要

2018年度採択 文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラム 精神領域意見交換会が開催されました。
第一部では、東京大学・筑波大学・千葉大学・京都大学のプログラムについて、それぞれご紹介いただきました。意見交換では、主にアウトカム評価やデジタルデバイスの活用、将来的な4大学の取り組みの統合と展開について指定発言の先生方からご意見を頂戴しました。
第二部では、久住一郎北海道大学医学部教授から「デイケアにおけるクリニカルパスの導入、多職種協働」についてお話いただきました。パスの導入により治療段階や目的が明確化され、スタッフ間での情報共有やモチベーション維持がしやすくなったことや、当事者や家族にとっての分かりやすさにも繋がったといった実践の成果をご紹介いただきました。
第三部の特別講演では、亀岡智美兵庫県こころのケアセンター副センター長より「トラウマインフォームドケア」についてお話いただき、トラウマインフォームドケア(以下TIC)の概念導入までの流れや、再トラウマ化予防としてのTICの実際について模擬事例を用いてご紹介いただきました。支援者のみならず、よりユニバーサルなものとしてTICの概念の普及を図る必要性について学ぶ貴重な機会となりました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 8月活動報告

日時・場所
2019年8月17日(土)
東京大学医学部附属病院 入院棟A 1階レセプションルーム
2019年8月18日(日)
東京大学医学部附属病院 入院棟B 1階会議室
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 8月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 8月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 8月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 8月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの8月講義が開催されました。
8月17日午前の部は、「“こわくないトラウマインフォームドケア”の普及と実装」をテーマに、内部演習を行いました。受講生による講義の後、職域ごとに分かれてグループワークを行いました。トラウマに関する基本概念を学び、トラウマの視点をもって臨床することやトラウマを扱う・ケアすることについて今後深めていくための土台づくりの時間となりました。
午後の部は、東畑開人十文字学園女子大学人間生活学部准教授/白金高輪カウンセリングルーム臨床心理士から「心の臨床と価値」についてお話いただきました。心理学の流れを踏まえて、ケアとセラピーという心の援助の二種それぞれにおける価値や臨床心理学の社会学的な位置づけについて考えさせられる貴重な機会となりました。
8月18日午前の部は、医療法人社団鉄祐会祐ホームクリニック夏堀龍暢医師から「文京区の地域精神保健―ケアと精神科医療を統合した訪問診療の経験から―」についてお話いただきました。訪問診療の現場における多職種協働の実践や臨床倫理・意思決定支援について、架空事例を用いて具体的にご説明いただきました。また、支援者としての基本姿勢についても学ばせていただきました。
午後の部は、石樵さゆり文京区子ども家庭支援センター係長から「文京区の虐待対策と子ども家庭支援」についてお話いただきました。行政における子ども家庭支援や虐待対策の枠組み、文京区児童相談所開設に向けた動きについて知ることができました。また、地域の支援体制づくりの第一歩として、自らの組織の活動について周知を図ることや主体的に連携を呼びかける姿勢が重要であることを学びました。

受講生の感想

今回、「トラウマ」という言葉、中身、本人の内側での扱われ方について学ぶことができ、これまでとは違う視点をもってクライエントと関わることができるかもしれないと考えました。グループワークでは「組織のトラウマ」に、自分が直面しているやりづらさや、困難がひそんでいるかもしれないと気づきました。

東畑先生のお話は、概念が次々と立ち上がっていき、刺激的でした。新たな考え方の枠組みを提示することで、何よりも臨床家が癒されていく様子を目の当たりにし、本だけでは得られない学びの場となったと思います。

(夏堀先生の講義)日常ではつい即効性や正解などの結果を求めてしまいがちで、挙句それが叶わずに諦めたりしがちな自分ですが、先生の諦めず、見捨てず、寄り添って歩む、という姿勢に胸を打たれました。

(石樵先生の講義)子ども家庭支援センターがどのように動いているのか、その内情を知ることができて勉強になりました。児童相談所や関係機関とのやりとり、連携の基には地道な啓発活動があると知り尊敬と勇気づけられる思いがしました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋連携コース 7月活動報告

日時
2019年7月20日(土)
2019年7月21日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟B 1階会議室
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 7月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 7月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 7月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 7月活動報告04
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1 職域架橋連携コース 7月活動報告05

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋連携型コースの7月講義が開催されました。
7月20日午前の部は、金生由紀子東京大学大学院医学系研究科准教授から「【精神医学】精神疾患Ⅰ 発達障害・児童思春期-総論及びチック症を例にして-」についてお話いただきました。子どもの発達に関する理論や児童思春期の精神症状及び発達障害の見立てについて、知識を整理し理解を深めることができました。また、チック症について、ビデオを用いながら臨床に基づいたお話をいただき、具体的・専門的な支援を知る貴重な機会となりました。
午後の部は、「自閉スペクトラム症の支援現場の実際」をテーマに、特定医療法人さっぽろ悠心の郷ときわ病院 ときわこども発達センターの館農幸恵医師と株式会社スペクトラムライフの桑野恵介代表から、それぞれお話をいただきました。館農医師からはESDM(Early Start Denver Model)の実践について、桑野代表からは早期療育・高機能群思春期支援・入所支援施設におけるチームアプローチ支援について、ビデオや写真を用いてわかりやすくご紹介いただき、医療・福祉の現場における実際の取り組みについて学ぶことができました。

7月21日午前の部は、中原睦美鹿児島大学大学院臨床心理学研究科教授から「コラージュ療法の理論と実践-コラージュ・ボックス法を中心に-」についてご講義いただきました。今回は、事務局が用意したパーツを使って、受講生一人ひとりがコラージュ制作を体験しました。理論や具体的な手続きを学ぶことに加えて、表現による癒しや気づき、楽しさなど様々な感覚を味わう充実した時間となりました。
午後の部は、松田修上智大学総合人間科学部心理学科教授から「知能検査・認知機能検査によるアセスメント」についてお話いただきました。Wechsler知能検査や認知症・軽度認知障害の評価で用いる認知機能検査について、検査の理論的背景から実施上の留意点に至るまで詳細に解説いただきました。検査者の立場や検査報告を活用して支援をする立場など、受講生それぞれの立場から、これまでの臨床を振り返り新たな学びを得る機会となりました。

受講生の感想

(金生先生の講義)特に初回面接から治療・支援につながっていくまでの基本姿勢、何を整理して検討していくのかが具体的に示されていて大変分かりやすかったです。また、チック症をしっかりと学んだことはなかったのですが、当事者の方の映像、特徴や発達障害との関連を知ることができ、チックがコントロール出来ないこと、コントロールしようとして非常に疲れるということをしっかりと念頭におく必要性を改めて感じました。

(館農先生の)ESDMの関わり合いのビデオを長時間拝見することができ、後にチェックリストを拝見するとそのコミュニケーションの一瞬一瞬に配慮が詰まっていることを感じました。お子さん一人ひとりに応じて遊びの計画を練る、地道な作業であることを感じましたが、超早期介入の意義を感じることのできる事例でした。桑野先生は、TICPOCの、まさにOrganizational Changeの核心に迫るような内容で、たいへん励まされました。個々の関わり合いの中での工夫、頭に入れたいと思います。

(中原先生の講義)ボックス法では初めてやりました。これまではやる人の自己への気付き、癒しの経験になると思っていたコラージュですが、セラピストとクライエントの対話、関係の補助材になりそうな感覚が初めてで今後のコラージュも楽しみです。

(松田先生の講義)今日のような基礎的なお話からもう一度聞き直すことができるのは大変ありがたく思いました。普段わかっているつもりでも,全く勘違いしていたことや、新たに知り得た事実もあり、今後、今回のような標準化に携わっている先生方からのお話は積極的に聞かなければならないと痛感しました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 6月活動報告

日時・場所
2019年6月15日(土)
東京大学医学部附属病院 中央診療棟7階 中会議室
2019年6月16日(日)
東京大学医学部附属病院 入院棟A 1階レセプションルーム
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 6月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 6月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 6月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2 地域連携型コース 6月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの6月講義が開催されました。

6月15日午前の部は、「精神科病院の内側と外側からTICPOC(Trauma Informed Care、Co-Production、Organizational Change)について考える」をテーマに、受講生によるシンポジウムを行いました。6名の受講生の方々に、「精神科病院の現場から」「地域支援の現場から」、TICPOCのコンセプトや本コースが重点を置いている「地域連携」というテーマに対する課題と今後の可能性についてお話いただきました。
午後の部は、水流聡子東京大学大学院工学系研究科特任教授から「対人支援サービスの質の評価とPDCAサイクル」についてお話いただきました。業務プロセス可視化のワークや具体的なプロジェクトの紹介を通して、支援の質の評価や改善を行うための方法論について学ぶことができました。

6月16日午前の部は、三ツ井幸子22HEART CLUB副代表から「22q11.2欠失症候群-重複する障害を抱えた子どもとその家族の生活-」について、当事者家族の立場からお話いただきました。その後、支援者や東京大学22q研究チームスタッフを交えて全体討論を行いました。障害が重複していることで、支援やサービスの分類・制度との適合が困難な場合があることや、不安を抱えながらも家族がコーディネーター役割を担わざるを得ない状況について知り、当事者及びその家族にとって包括的な支援を得られる場や仕組みづくりについて考える貴重な機会となりました。
午後の部は、竹島正川崎市健康福祉局障害保健福祉部担当部長/精神保健福祉センター所長から「地域包括ケアシステムと精神保健-川崎市から考えること-」を演題に、「川崎市における精神保健福祉の現状と展望」「精神障害にも対応した地域包括ケアシステムについて」「いきるを支える-自殺予防のために私たちができること-」についてお話いただきました。調査研究及びそのデータから地域の実情と支援ニーズ、方法論を分析し、地域のストレングスを生かした精神保健サービスを展開していくことについて、具体的な実践を紹介いただきながら理解を深めることができました。

受講生の感想

PDCAサイクルについての講義と22q11.2欠失症候群についての講義を続けて聞けたことで、システム化していく視点と、その隙間に落ちていかないようにする視点が相補的であるべきだということが理解できました。

(受講生によるシンポジウムから)「内と外」のコンフリクトのような場面は、私が所属する現場だけで起きているものではなく、あらゆる関係性において起こり得ることなのだと、受講生の皆様の発表を伺って分かりました。

両日の講義を通して、安心できる関係、支援の継続性の必要性を強く感じましたし、カルチャーは変わるという水流先生のお言葉にも非常に励まされました。持続可能な支援にするために、みえる化してシステムとして整える必要があるのだと痛感しました。

この時間(三ツ井副代表の講義)を通じ、この症候群について限らず、医療者による解説だけではなく、ご本人やそのご家族から教えていただくことの重要性、必要性を感じました。

竹島先生の講義を聞いて、あらためてマクロな背景や、この枠組みを具体的にOrganizational Changeのためにどう用いることができるのかについて学びなおす必要があると感じました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-1 職域架橋連携コース 5月活動報告

日時
2019年5月11日(土)
2019年5月12日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟B 1階会議室
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告04

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-1職域架橋連携型コースの5月講義が開催されました。
5月11日午前の部は、はじめに笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「C-1コースのねらい」について、濱田純子心理士、太田和佐心理士から「C-1コースの学びに期待すること」をお話いただきました。
講義では、近藤伸介東京大学医学部附属病院特任講師から「精神科受診見立て・見極め 実践編/理論編」についてお話いただきました。精神医学的視点からの見立てや見極めのポイントについて、DVD等用いながら臨床に即したかたちで具体的なご説明をしていただくことで、新たな気づきを得るとともに普段の臨床の再確認をすることができました。
午後の部は、黒田美保名古屋学芸大学ヒューマンケア学部子どもケア学科教授から「自閉スペクトラム症のアセスメント」と題して、数あるアセスメントツールの中でも、とりわけ診断・評価において有用なADOS-2、ADI-Rを中心に、アセスメントから支援について幅広くお話いただきました。
1日目の講義終了後には、C-2同様、参加者同士の自己紹介、それぞれの立場で抱いている課題意識について話し合いを行い、交流を深めました。

5月12日午前の部は、金原明子精神保健福祉士から「なぜC-1コースで質的研究を学ぶのか」講義前イントロダクションをしていただき、能智正博東京大学大学院教育学研究科教授から「質的研究入門~データ分析のはじめの一歩~」についてお話いただきました。「データ分析のワーク」の時間では、実際にサンプルデータを分析してみることで、質的データを読む際のポイントや質的研究の基礎的な手続きについて学ぶことができました。
午後の部は、藤山直樹上智大学名誉教授から「精神分析という視点」についてお話いただきました。後半は、事前に受講生から募集した事例を用いて検討会を行い、どの理論的立場や技法に拠って臨床をしているかに関わらず、臨床の場で起こる出来事を捉える際に、精神分析の視点が役立つことを具体的に学ぶ機会となりました。

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター
C-2 地域連携型コース 4月活動報告

日時
2019年4月13日(土)
2019年4月14日(日)
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟A 1階レセプションルーム
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告01
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告02
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告03
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告04
  • 養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーターC-2 地域連携型コース 4月活動報告05

概要

養成コースC 職域・地域架橋型コーディネーター C-2地域連携型コースの4月講義が開催されました。
4月13日午前の部は、笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「TI-CP-OC事始め」として本プロジェクトの核となる概念について詳細な説明がありました。また、参加者同士の自己紹介、それぞれの立場で抱いている課題意識について話し合いを行いました。
午後の部は、熊倉陽介東京大学大学院医学系研究科精神保健学/国立精神・神経医療研究センター薬物依存研究部科研費研究員から、「医療者の内なるスティグマと医療トラウマ-回復の並行プロセスのはじまりとしてのハウジングファースト-」についてお話いただきました。その後、「Trauma-Informed Care」「Co-Production」「Organizational Change」「地域連携」「価値に基づく支援」の5つのグループに分かれ、課題の共有とプロジェクトの立案に向けてグループディスカッションを行いました。
4月14日午前の部は、綾屋紗月東京大学先端科学技術研究センター特任研究員から「自他の身体に関する知識と社会変革-当事者研究とソーシャル・マジョリティ研究-」、上岡陽江ダルク女性ハウス代表から「トラウマとスティグマ-依存症自助グループのあゆみと課題-」についてお話いただきました。その後、お二方から「当事者研究の歴史・理念・方法-ワークシートを使って-」についてお話いただきました。
午後の部では、実際に当事者研究ワークシートを用いて、参加者それぞれが「いま抱えている困りごと」について当事者研究を体験しました。また、熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授からは「当事者研究と専門知-精神保健サービスの共同創造の方法論を目指して-」についてお話をいただきました。講師の先生方の体験と実践に基づいた貴重なお話から、スティグマとトラウマに関する多角的理解や当事者知と専門知を合わせて精神保健サービスを共同創造することの重要性及び実現に向けた課題について学びを深めることができました。

キックオフシンポジウム活動報告

日時
2019年1月27日(日) 13時~19時
場所
東京大学医学部附属病院 入院棟A15階大講義室

第一部講演

  1. 13:00-13:05
    ご挨拶
    宮園 浩平(東京大学大学院医学系研究科長)
  2. 13:05-13:20
    価値にもとづく支援とは何か:プロジェクト説明
    笠井 清登(東京大学大学院医学系研究科 教授)
    「動画はこちらからご覧ください」
  3. 13:20-13:50
    これからの心理職に求められる素養―
    ―科学者-実践家モデルの新たな展開を目指して
    能智 正博(東京大学大学院教育学研究科 教授)
  4. 13:50-14:20
    総合病院における多職種協働 心理職の立場から
    花村 温子(埼玉メディカルセンター 臨床心理士)

第二部講演

  1. 14:30-15:00
    支援と研究のコ・プロダクション―
    ―当事者研究という試み
    熊谷 晋一郎
    (東京大学先端科学技術研究センター 准教授) 
  2. 15:00-15:30
    リカバリーカレッジ――学びの場の共同創造・共同提供
    宮本 有紀(東京大学大学院医学系研究科 准教授)
  3. 15:30-16:00
    ピアサポートの力がもたらすもの
    ーリカバリーを現実のものへ
    佐々木 理恵(WRAPファシリテーター・ピアスタッフ)
  4. 特別講演
    16:10-17:00
    ケアする関係の作り方と心理支援の基本
    堀越 勝(国立精神・神経医療研究センター
    認知行動療法センター センター長)
  5. 特別企画
    17:15-19:00
    「みんなの学校」上映

概要

文部科学省課題解決型高度医療人材養成プログラム 東京大学 職域・地域架橋型価値に基づく支援者育成プロジェクトの立ち上げに際して、キックオフシンポジウムが開催されました。
はじめに宮園浩平東京大学大学院医学系研究科長よりご挨拶をいただき、次に笠井清登東京大学大学院医学系研究科教授から「価値にもとづく支援」と本プロジェクトについての詳細説明がありました。
第一部講演では、能智正博東京大学大学院教育学研究科教授から「これからの心理職に求められる素養」について、埼玉メディカルセンターの臨床心理士である花村温子先生からは心理職の立場から総合病院における多職種協働やチーム医療を実践する上で気をつけること等をお話をいただきました。
第二部講演では、熊谷晋一郎東京大学先端科学技術研究センター准教授からは「支援と研究のコ・プロダクション――当事者研究という試み」、宮本有紀東京大学大学院医学系研究科准教授からは「リカバリーカレッジ――学びの場の共同創造・共同提供」についてお話いただき、支援者に求められる基本の1つであるコ・プロダクションについての理解を深めました。またWRAPファシリテーター・ピアスタッフの佐々木理恵さんからは「ピアサポートの力がもたらすものーリカバリーを現実のものへ」と題したご自身の経験に基づいた貴重なお話をしていただきました。
特別講演では、堀越勝国立精神・神経医療研究センター認知行動療法センター センター長よりケアする関係の作り方や心理支援の基本と態度、解決法について学ぶことができました。各講演ともに活発な質疑応答等が行われ、ご参加された方々からの来年度4月より開始される各コースに対する期待や興味関心を窺い知ることができました。
最後に特別企画として「みんなの学校」が上映され、閉会となりました。

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