Cコース 2019年度

Cコース 2019年度講義プログラム

C-1 職域架橋連携コース 
講義一覧
テーマ内容 予定講師
5/11(土) 午前 精神科受診見立て・見極め 東京大学医学部附属病院 近藤伸介 特任講師
午後 自閉スペクトラム症のアセスメント 名古屋学芸大学ヒューマンケア学部子どもケア学科
黒田美保 教授
5/12(日) 午前 質的研究入門
―データ分析のはじめの一歩
東京大学大学院教育学研究科 能智正博 教授
午後 精神分析という視点 上智大学総合人間科学部心理学科 藤山直樹 教授
7/20(土) 午前 精神疾患Ⅰ
発達障害・児童思春期
東京大学大学院医学系研究科 金生由紀子 准教授
午後
自閉スペクトラム症の支援現場の実際
ときわこども発達センター 館農幸恵 児童精神科医
(株)スペクトラムライフ 桑野恵介 代表
7/21(日) 午前 コラージュ療法の理論と実践
-コラージュ・ボックス法を中心に
鹿児島大学大学院臨床心理学研究科 中原睦美 教授
午後 知能検査や認知機能検査によるアセスメント 上智大学総合人間科学部心理学科 松田修 教授
9/21(土) 午前 精神疾患Ⅱ 東京大学大学院医学系研究科 里村嘉弘 助教
午後 自閉スペクトラム症の早期支援 名古屋学芸大学ヒューマンケア学部子どもケア学科
黒田美保 教授
9/22(日) 午前
研究法~精神保健/医学研究の始め方~
東京大学大学院医学系研究科 笠井清登 教授
午後 精神医学の多元的理解 京都大学大学院医学系研究科 村井俊哉 教授
11/9(土) 午前 精神科薬物療法 東京大学大学院医学系研究科 神出誠一郎 准教授
午後 認知行動療法 1 上智大学総合人間科学部心理学科 毛利伊吹 准教授
11/10(日) 午前 医療領域でのコラージュ療法
-ターミナル領域でのコラージュ・ボックス法の実際
鹿児島大学大学院臨床心理学研究科 中原睦美 教授
午後
力動的視点によるチーム支援の有効化
京都大学 松木邦裕 名誉教授
1/18(土) 午前 多職種連携 東京大学医学部附属病院 市橋香代 特任講師
午後 認知行動療法 2 上智大学総合人間科学部心理学科 毛利伊吹 准教授
1/19(日) 午前
学校臨床におけるコラージュ療法
-スクールカウンセラー場面でのコラージュ療法導入の可能性
鹿児島大学大学院臨床心理学研究科 中原睦美 教授
午後 見えない心を可視化する
― 心理アセスメントによるケース理解―
中村心理療法研究室  中村紀子
国際ロールシャッハ学会会長 臨床心理士
3/14(土) 午前 精神疾患と脳 東京大学大学院医学系研究科 笠井清登 教授
午後 認知行動療法 3 上智大学総合人間科学部心理学科 毛利伊吹 准教授
3/15(日) 午前 論文執筆
~研究のまとめかた~
東京大学大学院医学系研究科 笠井清登 教授
午後 ストレスケアのためのコーピングと認知行動療法 洗足ストレスコーピング・サポートオフィス
伊藤絵美 所長
対象
医療をはじめとする様々な領域で心理支援職に従事する社会人、あるいはそれらの職を目指す学生等が主な対象です。看護、精神保健福祉、作業療法、薬剤、栄養、学校教育など多様な職域の社会人で、個人の心理・行動のアセスメントにもとづく支援力向上を目指す方等も対象に含みます。
内容
共同創造の時代のメンタルヘルス、精神保健サービスの構築と質の評価、地域保健の現場、地域連携といったテーマの講義や演習(8時間×12日)と、学内(6時間×2日)や学外(6時間×2日)連携施設における実習を行います(詳細は募集要項を参照)。

C-1コース午後の講義内容

5月

  1. 黒田美保先生5月11日(土)PM

    自閉スペクトラム症のアセスメント形式:講義
    自閉スペクトラム症の特性を調べるためには、多くのアセスメント・ツールがあるが、それをスクリーニングと診断・評価用にわけて解説する。また、支援においては、自閉スペクトラム症の特性だけでなく併存しやすい他の発達障害や適応行動などの調べる必要がある。こうした包括的なアセスメントについても学ぶ。
  2. 藤山直樹先生5月12日(日)PM

    精神分析という視点形式:講義
    心理臨床の実践をしていく中で、精神分析による視点は、臨床に厚みや広がりをもたらすものとなり、多職種で活動するときにも必要となる。精神分析のイントロダクションと同時に、それが臨床状況にどういきるかについて概説する。

7月

  1. 館農幸恵先生、桑野惠介先生7月20日(土)PM

    自閉スペクトラム症の支援現場の実際形式:講義
    医療・福祉の現場における自閉スペクトラム症支援の実際について、医師と臨床心理士が様々なケースを通じて紹介する。
  2. 松田修先生7月21日(日)PM

    知能検査や認知機能検査によるアセスメント形式:講義
    Wechsler知能検査(例、WISC-Ⅳ、WAIS-Ⅳ)や、認知症や軽度認知障害に対する認知機能検査の実施・解釈・活用の要点を解説する。

9月

  1. 黒田美保先生9月21日(土)PM

    自閉スペクトラム症の早期支援形式:講義
    自閉スペクトラム症の中核症状である対人コミュニケーションの障害は、発達早期からの介入により改善することがわかっている。早期介入の方法について、子ども自身への介入(主にJASPERプログラム)と親への介入(主にペアレントプログラム)について解説する。
  2. 村井俊哉先生9月22日(日)PM

    精神医学の多元的理解形式:講義
    精神医学では、心と身体の統合的理解が重要であるが、そのような考え方の一つである「多元主義」について紹介する。

11月

  1. 毛利伊吹先生11月9日(土)PM

    認知行動療法1形式:ワークを交えての講義
    認知行動療法は、現実的な問題に関わりつつ心を支える援助方法である。ここではその実際について理解を深める。
  2. 松木邦裕先生11月10日(日)PM

    力動的視点によるチーム支援の有効化形式:講義
    力動的視点により、チーム支援がどのように有効になるかという観点から講義を行う。

1月

  1. 毛利伊吹先生1月18日(土)PM

    認知行動療法2形式:ワークを交えての講義
    認知行動療法は、現実的な問題に関わりつつ心を支える援助方法である。ここではその実際について理解を深める。
  2. 中村紀子先生1月19日(日)PM

    見えない心を可視化する― 心理アセスメントによるケース理解―形式:講義・ワークショップ
    目に見えない心の構造を外在化して「見える」ものにすると、自分を客観的に理解する稀有な経験となる。

3月

  1. 毛利伊吹先生3月14日(土)PM

    認知行動療法3形式:ワークを交えての講義
    認知行動療法は、現実的な問題に関わりつつ心を支える援助方法である。ここではその実際について理解を深める。
  2. 伊藤絵美先生3月15日(日)PM

    ストレスケアのためのコーピングと認知行動療法形式:ワークショップ
    メンタルヘルスにおいて、セルフケアのためにも、援助者が当事者をケアするためにも、ストレスおよびストレスマネジメントの知識とスキルが不可欠である。本講義ではそのために有効な手法であるコーピングと認知行動療法について、ワークショップ形式で学んでいただく。

C-2地域連携型コースの概要

1日の時間割(隔月で1回、土日2日間×6回)

プログラム・メイン講師
(2019年1月時点)

April4月
日程 テーマ内容 予定講師
13(土) AM 価値に基づく支援者育成における3つの基本素養
―Trauma-Informed Care, Co-production, Organizational Change―
笠井清登 詳細を見る
PM 「価値」の理解に基づく精神医学 笠井清登
14(日) AM 自他の身体に関する知識と社会変革 ―当事者研究とソーシャルマジョリティ― 綾屋紗月 詳細を見る
トラウマとスティグマ ―依存症自助グループのあゆみと課題― 上岡陽江
PM 当事者研究と専門知 ―精神保健サービスの共同創造の方法論を目指して― 熊谷晋一郎
June6月
日程 テーマ内容 予定講師
15(土) AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登 詳細を見る
PM 対人支援サービスの質の評価とPDCAサイクル 水流聡子
16(日) AM 22q11.2欠失症候群 ―重複する障害を抱えた子どもとその家族の生活― 三ツ井幸子 詳細を見る
PM 全市民を対象とした地域包括ケアにおけるメンタルヘルスの戦略 竹島正
August8月
日程 テーマ内容 予定講師
17(土) AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登 詳細を見る
PM 臨床心理学と人類学 ―当事者との共同創造に向けた心理臨床の再考― 東畑開人
18(日) AM 文京区の地域精神保健
―プライマリ・ケアと精神科医療を統合した訪問診療の経験から―
夏堀龍暢 詳細を見る
PM 文京区の虐待対策と子ども家庭支援 文京区子ども家庭支援センター職員
October10月
日程 テーマ内容 予定講師
19(土) AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登 詳細を見る
PM 死生学の展開とグリーフケア 島薗進
20(日) AM トラウマの視点でその人の行動を見直し、生きづらさの理解や支援方法を考える
~トラウマ臨床の基本的知識から専門的支援まで~
鶴田信子 詳細を見る
PM 東日本大震災におけるメンタルヘルス 大塚耕太郎
December12月
日程 テーマ内容 予定講師
21(土) AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登 詳細を見る
PM ピアサポートとリカバリー 宮本有紀
22(日) AM 手の届き難い方への精神分析的アプローチ
ー援助提供モデルと自己理解促進モデルの長所と短所ー
若佐美奈子 詳細を見る
PM 精神保健研究の方法論 山口創生
February2月
日程 テーマ内容 予定講師
15(土) AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登 詳細を見る
PM 学校メンタルヘルスと若者の自殺対策 石井綾華
16(日) AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登 詳細を見る
PM 薬物依存症をもつ人を地域で支える 松本俊彦
対象
行政、社会福祉、学校教育、 NPO法人等で対人支援職に従事する社会人、あるいはそれらの職を目指す学生等が主な対象です。医療職等で地域との連携について学びたい方、心理職等個人の支援にあたる方で社会的支援の視座を深めたい方等も対象に含みます。
内容
トラウマインフォームドケア(Trauma-Informed Care)、当事者との共同創造(Co-production)、そしてそれらを実現するために自らの働く組織の文化の変革(Organizational Change)。こうした素養を身につけるべく、価値、トラウマ、スティグマなどの重要な概念の理解や、地域レベルでの精神保健サービスの構想、支援の質の評価と改善のための方策、精神保健医療福祉に関する研究の方法論などを系統的に学びます。講義や演習(8時間×12日)と、学内(6時間×2日)や学外(6時間×2日)連携施設における実習を行います(詳細は募集要項を参照)。続きを読む
コースの
コンセプト
少子高齢化・人口減少社会の中で、社会保障財源は限界をむかえており、保健医療制度の持続可能性が懸念されている。社会保障の効率性が求められている一方で、歴然と存在する健康格差を看過することなく、ヘルスケアの公平性を高めていくことも対人支援の専門職の役割である。価値が多様化する中で、それぞれの人のもつ多様な価値を尊重しながらも、自殺やそれに似た「緩慢な自殺のような生き方」の原因を本人だけに帰属させて「自己決定である」と放置することなく、有効な支援を提供することが求められている。薬物やアルコール等の物質依存にとどまらず、ギャンブルやインターネット・ゲーム、虐待や暴力までを含んだひろい意味でのアディクション、統合失調症やうつ病などの精神疾患、そしてこれらを複合的に抱える人達に対する支援の方策は未だ不十分であり、対象者の特性に応じた適切な治療や支援が求められている。近年ではアディクションや精神疾患の背景にあるトラウマ(心的外傷)の存在に支援者が気付き、そこからの回復のための安全・安心できる場や関係性を提供することの重要性が、改めて着目されるようにもなってきている。しかしながら、対人援助職が身につけてきた専門知や、支援する/されるという構造それ自体が、複合的な困難を抱える人々に対してしばしば有効な支援として機能しないことがあるばかりか、時には侵襲的に作用することさえもある。精神科医療の現場で行われる、隔離や身体拘束などの行動制限や強制入院などによってトラウマ体験を重ねている人もいる。それぞれの医療者がもつスティグマや、支援構造が縦割りであることから、複合的な困難をかかえる人が、適切な治療や支援につながることから疎外されていることもある。医療をはじめとした支援の枠組みの中で産み出されている、当事者にとってのこのような不利益を前にして、支援者のあり方や支援の構造を変革していくことが求められている。本プログラムのC-2地域連携型コースでは、このような時代背景と課題意識の元、地域の中で援助希求をしづらい/しない人、支援の現場にあらわれず、困難を抱えながらも地域の中でみえないところにいる人、支援者の前からするりといなくなっていくような人たちを前にして、対人援助職はどのような素養を身につけ、前向きな取り組みをなし得るのかという問いを立て、多様な領域で実際の活動をおこなっている講師と参加者が共同で考え、具体的な実践につながる学びを深めることを目的とする。続きを読む

プログラムの概要

April4月

4月は本コースのコンセプトについて、参加者とコアとなる講師が協働して精緻化し、価値に基づく実践(Values-Informed practice)、トラウマインフォームドケア(Trauma-Informed Care)、共同創造(Co-production)、構造変革(Organizational Change)などの柱となる概念を、現場実感と共に腑に落ちる形で理解することを目標とする。

4/13(土)
AM 価値に基づく支援者育成における3つの基本素養
―Trauma-Informed Care, Co-production, Organizational Change―
笠井清登
PM 「価値」の理解に基づく精神医学 笠井清登

本プログラムの総括コーディネーターである笠井より、本コースのコンセプトについての概説と、「価値」の理解に基づく精神科医療に関する講演を行う。社会や家族の中に存在しており、それぞれの人の成長過程の中で内在化されていく「価値」について多角的に理解すると共に、精神疾患の好発時期である思春期(Adolescence)を、社会との関わりの中で個人のもつ「価値」が再編されていく重要な時期と位置付け、人生の時間軸の視点をもった支援のあり方について深める。また、参加者同士の自己紹介や現在の仕事、課題意識について共有し、それぞれの現場で必要とされる素養や、取り組むべき実戦について話し合う時間も作る。続きを読む

4/14(日)
AM 自他の身体に関する知識と社会変革 ―当事者研究とソーシャルマジョリティ― 綾屋紗月
トラウマとスティグマ ―依存症自助グループのあゆみと課題― 上岡陽江
PM 当事者研究と専門知 ―精神保健サービスの共同創造の方法論を目指して― 熊谷晋一郎

4月14日AMは綾屋、上岡より、当事者研究の歴史、理念、方法、依存症の自助グループの歩みを通したスティグマとトラウマに関する多角的理解、構造変革(Organizational Change)を念頭に置いたソーシャルマジョリティ研究(共同創造のためにマジョリティの仕組みについて研究すること)の考え方についての講演を行う。発達障害と依存症の当事者研究の対比や、それぞれの障害者運動や当事者研究の中で得られた知見が障害をまたいで相互に有益であるという「クロスディスアビリティ」の考え方についても整理する。4月14日PMは熊谷より、綾屋と上岡の取り組みを当事者研究の全体像の中に位置づけつつ、当事者知と専門知を合わせることによる発展や、精神保健サービスを共同創造することを念頭に置き、本コースのコンセプトを更に深く理解するための講演を行う。ピア人材養成プログラム作成の試みや、当事者グループにおけるスーパービジョンについての取り組みについても学ぶ。続きを読む

June6月

6/15(土)
AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登
PM 対人支援サービスの質の評価とPDCAサイクル 水流聡子

6月15日PMは、水流より、対人支援サービスの質の評価とPDCAサイクルに関する講演を行う。自らの個別支援のプロセスや組織としての業務プロセスについて分析し、支援の質の評価や改善を行うための方法論を、具体的なプロジェクトの紹介を通して学ぶことを目的とする。この講義を通して、自らの支援について振り返り、学習するという基本的素養を身につける。当事者と専門職による共同創造(Co-production)を通した対人支援の構造変革(Organizational Change)をおこなっていく上で重要となる、支援の構造化・可視化のための基本的な考え方を身につけ、参加者が本コースの履修中に具体的な現場の中で実践もできるようになることを期待する。続きを読む

6/16(日)
AM 22q11.2欠失症候群 ―重複する障害を抱えた子どもとその家族の生活― 三ツ井幸子
PM 全市民を対象とした地域包括ケアにおけるメンタルヘルスの戦略 竹島正

6月16日AMは、三ツ井より、22q11.2欠失症候群という、身体障害・知的障害・精神障害が併存しやすい染色体起因疾患をもつ子ども達と、それを支える親の体験する複合的な困難に関して、家族の立場から講演をおこなう。重複する障害をもつ人達を前に、医療・福祉・教育の仕組みをどのように変えていく必要があり、支援者にはどのような役割が求められるのか、家族会の立場で活動する講師と一緒に考える機会をもつ。6月16日PMは、竹島より、「高齢者に限らない全住民を対象とした地域包括ケア」をかかげる川崎市における精神保健のビジョンについて概観する講演を行う。地域のストレングスを活かし、コミュニティの抱えるトラウマからの回復に向けた地域レベルでの精神保健サービスの実践のための理念や方法論、援助希求の多様性に対応した支援のあり方などについて経験豊富な講師から学ぶ。自治体における支援サービスの質を継続的に向上させるための研究と実践の方法論についても、具体的なプロジェクトを元に整理する。続きを読む

August8月

8/17(土)
AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登
PM 臨床心理学と人類学 ―当事者との共同創造に向けた心理臨床の再考― 東畑開人

午後開催の東日本大震災におけるメンタルヘルス(大塚耕太郎)分は10月20日に変更になりました。

8月17日PMは、東畑より、心理療法の人類学に関する講演を行う。様々な個別の心理療法がもつ人間理論の違いや「価値」について、人類学的な視点から俯瞰的・相対的な理解を深め、自らが提供する支援のあり方について見つめなおすことを、対人援助職の基本的な素養として身につけることを目的とする。加えて、当事者との共同創造を念頭に置き、心理臨床家や臨床心理学は今後、何を引き継ぎ、どのように変化(Organizational Changeを含む)していくことが求められるのか、参加者を交えて考察を深めていく。 続きを読む

8/18(日)
AM 文京区の地域精神保健
―プライマリ・ケアと精神科医療を統合した訪問診療の経験から―
夏堀龍暢
PM 文京区の虐待対策と子ども家庭支援 文京区子ども家庭支援センター職員

8月18日は、地域連携を主な目的とした本コースのコンセプトを、具体的な地域保健のフィールドを対象として構想し、実践することを念頭に置き、東京大学の立地する文京区をフィールドとして活動する支援者を講師としている。
8月18日AMは夏堀から、文京区をはじめとした訪問診療の現場経験を通して、プライマリ・ケアと精神保健医療福祉の連動の重要性や、必要とされる地域連携について整理する。
8月18日PMは文京区子ども家庭支援センターの職員を講師として、文京区の地域特性をふまえながら、要保護児童対策地域協議会をはじめとした子ども家庭支援や虐待対策の枠組みについて外観し、それらの領域と精神保健の連動の重要性について整理する。東京大学医学部附属病院も文京区に立地していることから、虐待対策と精神科医療の連動について、今後の発展の可能性を具体的に構想することを通して実践的な学びを深める。
続きを読む

October10月

10/19(土)
AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登
PM 死生学の展開とグリーフケア 島薗進

10月19日PMは、島薗より、死生学やグリーフケアに関する講演を行う。グリーフケア研究の立場から、喪失を前に人々がどのようなケアをおこなってきたか概観し、「哀しい歌」をうたうということや、「あいまいな喪失」という概念などについてなど、死と喪失をめぐる多様な知を提供する。また、宗教学者の立場から、宗教を含めた人々のもつ「価値」についての気付きと理解を深めることも目的とする。東日本大震災以降に「臨床宗教師」として発展した宗教者による対人支援をはじめとした、民間の様々な互助についての理解を深め、コミュニティメンタルヘルスにおける地域連携の活性化に務められる素養も身につける。続きを読む

10/20(日)
AM トラウマの視点でその人の行動を見直し、生きづらさの理解や支援方法を考える
~トラウマ臨床の基本的知識から専門的支援まで~
鶴田信子
PM 東日本大震災におけるメンタルヘルス 大塚耕太郎

午後開催の臨床心理学と人類学 ―当事者との共同創造に向けた心理臨床の再考―(東畑開人)分は8月17日に変更になりました。

10月20日AMは、鶴田より、トラウマをかかえる人を対象とした心理臨床の実践経験を通して、トラウマ臨床の基本となる考え方やトラウマ反応、トラウマを抱える人に対する支援方法やトラウマに特化した専門 知的治療に関する講義を行い、グループディスカッションを通じて支援方法について検討する。
10月20日PMは、大塚より、岩手県での経験を元に、東日本大震災後のコミュニティメンタルヘルスの取り組みについての講演を行う。震災直後の安全確保のためのマネジメントから、中長期的な復興過程の中でそれぞれの被災地域ごとに生じてくる課題をアセスメントし、必要な支援構造を構築するための実践知を具体的な経験から学ぶ。震災以前から岩手県で取り組まれていた自殺対策の枠組み、東日本大震災以降に構築した「重層的な支援構造」の意義について整理する。被災者や震災を経験したコミュニティが回復していくプロセスと、そこで求められる支援者の素養を理解し身につけることを目的とする。 続きを読む

December12月

12/21(土)
AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登
PM ピアサポートとリカバリー 宮本有紀

12月21日PMは、宮本より、英国を中心に先進国で発展し、日本にも広がりつつあるリカバリーカレッジの理念と実践を題材として、リカバリーとピアサポートについての講演を行う。当事者と専門職の共同創造(Co-production)をすすめていく上で重要となり、リカバリーカレッジの鍵となる要素でもある、それぞれの専門性を持ち寄りともに学ぶこと(educational model)の思想についての理解を深めることを含む。

12/22(日)
AM 手の届き難い方への精神分析的アプローチ
ー援助提供モデルと自己理解促進モデルの長所と短所ー
若佐美奈子
PM 精神保健研究の方法論 山口創生

12月22日AMは、若佐より、手の届き難い方への精神分析的アプローチというテーマで講演を行う。価値が多様化した現代社会において、画一的な援助が有効でないことは明らかである。対象者が何を望み、何に困難をおぼえているのか、綿密なアセスメント及び臨床観察、そしてそれらを扱うための信頼関係の構築が求められる。しかし時に、有効だと思われる専門的助言を失念したり無視したりして、信頼関係の構築に多大な時間や労力が必要な対象者もいる。このように援助を求めながらも関係性を拒否または破壊するといった矛盾を抱えた方に対し、援助の提供を主眼に置くアプローチより、自己理解を促進する精神分析的アプローチが、関係性を安定させることがある。医療、福祉、教育、司法の現場における様々なバックグラウンドの対象者のケース検討を通して、新しい援助関係のあり方について検討したい。
12月22日PMは、山口より、共同意思決定(Shared decision making)やアンチスティグマ、ピアサポート、IPS(Individual placement and support)などの重要なテーマを題材とし、精神保健サービスを改善していくための研究の方法論や考え方に関する講演を行う。

February2月

2/15(土)
AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登
PM 学校メンタルヘルスと若者の自殺対策 石井綾華

2月15日PMは、石井より、自身が代表を務めるNPO法人が行う若者の自殺対策の実践を通して、ピアサポートのための基本的素養や、それらをどのように学校をはじめとしたコミュニティの中で普及させていくことができるかという方法論に関する講演を行う。援助することと援助されることの対称性と非対称性について理解し、身近な人の支え手を支えるというアイディアに基づいて、具体的な臨床実践の現場で支援が届きにくい人に有効な支援を届けるための方策を身に付けることを目的とする。

2/16(日)
AM プロジェクト内部ミーティング・演習 笠井清登
PM 薬物依存症をもつ人を地域で支える 松本俊彦

2月16日PMは、松本より、刑の一部執行猶予制度下で刑務所内処遇から社会内処遇へと施策の転換が行われ、社会の中に増えつつある薬物依存症をもつ人の地域生活を支えるための支援について、基本的な考え方を身につけるための講演を行う。トラウマを背景とし、苦痛を和らげるための自己療養としての物質依存をもつ人に対して、厳罰主義的な対応は無効であるばかりかトラウマ体験を重ねて回復を妨げるということを確認する。その上で、SMARPPやVoice Bridges(声の架け橋) Projectなど、松本が牽引して全国的にひろがりつつある薬物依存症地域支援のための具体的な取り組みについて、その理念と実践のための方策について共有することを通して、トラウマとアディクションの統合的な支援の考え方に基づいた、具体的な臨床実践を展開できるための素養を身につける。続きを読む

これらの講演に加えて、チューターを交えた参加者同士のプロジェクト内部ミーティング・演習を、年間を通して行う。コース参加者がそれぞれの立場で対峙している課題に対して、講師や参加者との対話や学びを通して
向き合い、自らの臨床実践のブラッシュアップをはかるとともに、現実的かつ具体的なプロジェクトを実際に立ち上げることを通した実践的な学びを得ることも目標とする。